フォークリフト労災事故で足を骨折|後遺障害14級の9認定・示談交渉で183万円を回収した解決事例
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勤務中のフォークリフトの事故は、骨折などの重大なケガにつながる危険な労働災害です。
今回ご紹介するのは、勤務中にフォークリフトにひかれて足を骨折した労働者の方が、後遺障害14級の9の認定を受けた後、フォークリフトの運転者を雇用していた会社に対して損害賠償請求をして、示談交渉によって183万円を回収した解決事例です。
労災保険から給付を受けていたとしても、フォークリフトの運転者を雇用していた会社に使用者責任が認められる場合には、別途損害賠償請求ができる可能性があります。
労災の後遺障害の認定の後に、損害賠償請求ができるのだろうか、労災保険からの補償だけでは、今後の生活が不安だとお悩みの方は、これから紹介する解決事例を参考にしていただき、ご自身の労災事故における損害賠償請求にお役立てください。

労災事故の概要
依頼者は、自身の勤務先の工場の敷地内において、融雪ホースの点検をしていました。
依頼者が勤務していた工場には、別の会社の労働者が、トラックで運ばれた荷物をフォークリフトで運搬していました。
依頼者が、融雪ホースの点検をして、後ろを振り返ったところ、別の会社の労働者が、フォークリフトをバックしており、後方の確認をしないまま、バックをし続けた結果、被災労働者と衝突しました。
依頼者は、フォークリフトで左足をひかれてしまい、転倒して、負傷しました。
労災の後遺障害14級の9の認定
この労災事故によって、依頼者は、左足内果骨折、左第2‐4中足骨骨折のけがを負いました。依頼者は、労災申請をして、労災と認定されましたので、治療費については、労災保険から療養補償給付が支給され、全額が無料になりました。また、依頼者が治療のために会社を休業している期間、労災保険の休業補償給付が支給され、給料の約8割が、労災保険から支給されました。
依頼者は、治療を継続し、入院18日間、通院期間約7ヶ月を経て、症状固定となりました。症状固定とは、これ以上治療を継続しても、症状がよくならなくなった時点をいい、症状固定時において、残存している悪しき症状のことを、後遺障害といいます。症状固定の時点で、労災保険の療養補償給付と休業補償給付は打ち切られ、後遺障害が残る場合には、労災保険の障害補償給付の申請をします。
依頼者は、治療をしてきたものの、左足の痛みの症状が残存していたので、障害補償給付の申請をしました。その結果、労災保険の後遺障害等級の14級の9「局部に神経症状を残すもの」に該当し、後遺障害の認定を受けました。
骨折後に、負傷した箇所に痛みが残る場合、局部の神経系統の障害として、後遺障害と認定されることがあります。後遺障害と認定されれば、労災保険から、障害補償給付を受給できます。障害補償給付の受給ができれば、今後の生活が一定程度安定するメリットがあります。
後遺障害14級の9の場合、給付基礎日額(労災事故前3ヶ月間の賃金の平均額)の56日分の障害補償一時金、算定基礎日額(労災事故前1年間の賞与を365日で割った金額)の56日分の障害特別一時金、8万円の障害特別支給金が支給されます。
依頼者は、障害補償一時金として569,464円、傷害特別一時金として113,904円、障害特別支給金として8万円を受給しました。

損害賠償請求
労災の後遺障害の認定を受けた後に、第三者に対して、損害賠償請求ができないかについて検討します。その理由は、労災保険からの補償だけでは、労災事故によって被った、被災労働者の損害の全てがまかなわれないからです。
具体的には、労災保険からは、精神的苦痛に対する慰謝料は支給されません。
また、後遺障害による収入の減少に対応する、労災保険の障害補償給付では、労働者の将来の収入の減少という損害の一部しか支給されません。
このように、労災保険からは支給されない慰謝料や、労災保険からの補償では足りない、労働者の将来の収入の減少の損害について、損害賠償請求ができないかを検討します。
不法行為責任と使用者責任
今回の事例では、別の会社のフォークリフトの運転手のミスによって、依頼者は負傷したので、フォークリフトの運転手に対して、損害賠償請求ができないかを検討します。フォークリフトの運転手に対して、損害賠償請求を検討する時には、不法行為責任を追及します。不法行為とは、「わざと(故意)」または「うっかり(過失)」で他人の権利や利益を侵害し、損害を与えた場合に、その責任を負うことをいいます。
今回のフォークリフトの運転手は、後方の安全確認をしないまま、フォークリフトをバックさせたという落ち度がありますので、依頼者に対して、不法行為責任を負います。
次に、フォークリフトの運転手を雇用している別の会社に対して、損害賠償請求ができないかを検討します。労災事故の損害賠償請求では、けがの程度によっては、損害賠償額が多くなり、加害者である個人では支払能力がないというリスクがあります。そこで、加害者個人だけではなく、支払能力がありそうな加害者を雇用している会社に対しても、損害賠償請求ができないかを検討するのです。
労働者を雇用している会社は、雇用している労働者が不法行為をした場合、被害者に発生した損害を賠償する責任を負います。これを使用者責任といいます。使用者責任は、事業で利益を得ている会社は、そのリスクも負うべきという報償責任の原理と、事業で利益を得る以上、従業員が危険な行為をして損害を出したリスクも会社が負うべきという危険責任の原理を根拠に認められています。
今回の労災事故では、フォークリフトの運転手は、事業の執行について、依頼者に対して不法行為をしたので、フォークリフトの運転者を雇用している会社も、依頼者に対して、使用者責任を負います。
労災の後遺障害14級の損害賠償請求
さてここから、今回の労災事故における依頼者の損害を計算してみます。
①休業損害
労災事故によって、働けなくなり、会社を休業することによって、給料の支給がなくなる損害を休業損害といいます。
休業損害は、収入日額に休業日数をかけて計算します。収入日額は、労災事故前3ヶ月間の給料総額を期間の総日数で割って計算するので、労災保険の給付基礎日額の計算とほぼ同じです。
今回の労災事故の場合、依頼者の収入日額は、10,168円で、休業日数は118日でしたので、休業損害は、10,168×118=1,199,824円となります。
労災保険から支給された休業補償給付は、給料の約80%が支給されますが、80%のうちの20%は、特別支給金でして、これは、損害賠償請求にあたり、控除されません。今回、控除される休業補償給付は、給料の約60%であり、その金額は、692,459円でした。
最終的な休業損害は、1,199,824-692,459=507,365円となりました。
②逸失利益
逸失利益とは、労災事故がなければ将来得られたであろう収入のことです。逸失利益は、次の計算式で計算します。
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
基礎収入とは、労災事故の前年の年収のことです。
労働能力喪失率は、後遺障害によって、労働者の労働能力がどれくらいの割合で喪失したかを算出するものです。後遺障害14級の場合、労働能力喪失率は、5%です。
労働能力喪失期間は、後遺障害による労働能力が喪失された期間のことです。後遺障害14級の9の「局部に神経症状を残すもの」の場合、労働能力喪失期間は、5年になることが多いです。
ライプニッツ係数とは、労災事故などの損害賠償金に生じる中間利息を控除するための係数です。逸失利益の損害賠償請求では、将来にわたる損害賠償金を一度に受け取ることなります。その損害賠償金を運用すると利息が生じるので、この利息分を控除するために、ライプニッツ係数を使用します。労働能力喪失期間5年に対応するライプニッツ係数は、4.5795です。
今回の労災事故で逸失利益を計算すると次のとおりとなります。
4,695,623×4.5795×5%=1,075,227円
労災保険から支給された障害補償給付のうち、障害補償一時金は、逸失利益から控除されますが、障害特別一時金及び障害特別支給金は逸失利益から控除されません。
今回の労災事故の障害補償一時金は、569,464円でしたので、最終的な逸失利益は、次のとおりとなります。
1,075,227-569,464=505,763円
③入通院慰謝料
入通院慰謝料とは、労災事故の怪我で入院・通院を余儀なくされた精神的・肉体的苦痛に対して支払われる慰謝料です。入通院慰謝料については、入院の月数と通院の月数から計算します。
今回の労災事故では、入院18日間、通院約7ヶ月でしたので、入通院慰謝料は、1,558,000円となります。
④後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料とは、労災事故のケガ治療後に残った後遺障害について、その身体的・精神的苦痛に対して支払われる慰謝料のことです。後遺障害慰謝料については、後遺障害の等級に応じて金額が決まります。後遺障害14級の場合、後遺障害慰謝料は、110万円が相場です。
⑤既払金
依頼者がかけていた損害保険から、1,833,647円が支給されましたので、この金額を、損害賠償額から控除します。
⑥損害賠償額
1,628+507,365+505,763+1,558,000+110万=3,672,756
3,672,756-1,833,647=1,839,109円

示談交渉
労災事故の損害賠償請求では、最初に、相手方となる会社と示談交渉をし、示談交渉がまとまらなかった場合に、裁判を提起します。
通常、労災事故の損害賠償請求の示談交渉では、過失相殺が問題になります。過失相殺とは、労災事故において、被災労働者にも落ち度があった場合、その落ち度の程度によって、損害賠償額を減額することです。労災事故の発生には、被災労働者の落ち度も関与していることが多く、相手方の会社から、過失相殺の主張がされることがよくあります。
フォークリフトの運転者を雇用していた運送会社に対して、損害賠償請求の通知書を送付しました。すると、相手方の運送会社は、過失相殺の主張をすることなく、当方の主張をすんなりと受け入れてくれて、1,839,109円の損害賠償金を支払ってもらうことで、示談が成立しました。
今回の労災事故の原因は、フォークリフトの運転者の後方確認を怠ったことが原因であり、依頼者の落ち度がほとんどなかったことから、過失相殺が争点になることなく、早期に事件が解決しました。
また、後遺障害が14級であり、一番低い等級であったため、損害賠償額がそこまで大きくならず、相手方の運送会社にとって、経済的負担がそこまで大きくなかったことも、早期解決に影響したと考えます。
弁護士から、損害賠償請求の通知書を送付してから、約1ヶ月という短期間で示談が成立したことから、依頼者に、ご納得いただき、ご満足いただけました。
なお、依頼者には、自身がかけている損害保険に弁護士費用特約がついていたため、依頼者の弁護士費用の負担は一切ありませんでした。弁護士費用特約を利用できれば、弁護士にかかる費用のことを心配することなく、損害賠償を全額自分の手元に残すことができますので、労災事故で損害賠償請求する際には、弁護士費用特約を利用できないかについて検討してください。
適切な損害賠償を受け取るためにも、後遺障害の認定や損害賠償請求について、弁護士に相談することをおすすめします。
当事務所では、労災給付を受け取る権利がある方に、一人でも多く、労災給付を受け取っていただき、みなさまの未来への不安解消と、前を向くきっかけづくりのお手伝いをさせていただきたいと考えております。
当事務所では、初回相談を無料で承っており、メールやLINEでのご相談の受付も行っております。
私達の持てる知識と経験を活かして、みなさまの明日が少しでも明るいものになるように親身に寄り添い、真剣に対応させていただきます。
労災事故にまきこまれて、これからどうすればいいのかお悩みの場合には、ぜひ、当事務所へご相談ください。
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まずは弁護士にご相談いただき、ご自身の状況や今後の動きについて一緒に考えていきましょう。
労働災害に強い弁護士が、あなたの抱えている不安を解消し、明るい未来を切り拓きます。

この記事を書いた弁護士
徳田隆裕(とくだ たかひろ)
弁護士法人金沢合同法律事務所 弁護士
2010年弁護士登録。労働者側での労働事件を専門として、解雇、残業、労災といった労働問題で困っている労働者を笑顔にするために、日々弁護活動を行っています。「労働弁護士徳田タカヒロ」というYouTubeチャンネルで、労働問題についての情報発信をしています。
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