労災後遺障害7級はいくらもらえる?補償額と会社への損害賠償請求を弁護士が解説
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仕事中や通勤中の事故によって重い後遺障害が残ってしまった場合、今後の生活や仕事に大きな影響が生じます。
特に、労災事故によって後遺障害7級が認定された場合、労災保険からいくら補償されるのか、労災年金は受け取れるのか、会社に対して損害賠償請求できるのか、慰謝料は受け取れるのか、といった疑問を抱く方が少なくありません。
後遺障害7級は比較的重い後遺障害に分類され、労災保険から障害補償年金が支給されます。また、会社に安全配慮義務違反が認められる場合には、労災保険とは別に会社へ損害賠償請求できる可能性があります。
この記事では、労災後遺障害7級の認定基準、受け取れる補償内容、会社への損害賠償請求について、労災事件を取り扱う弁護士が詳しく解説します。
後遺障害等級(障害等級)と7級の位置づけ
労災保険の障害補償給付は、障害等級表に定める等級に該当するかで支給内容が決まります。後遺障害7級がどの程度の障害と扱われ、どんな給付形態になるのかを押さえます。
労災の後遺障害は、労働者災害補償保険法施行規則の障害等級表に沿って、症状の種類と重さで1級から14級までに整理されています。後遺障害等級は「ケガがどれだけつらいか」という主観ではなく、検査数値や機能障害の程度、就労上の制限といった客観的な基準で判断されます。
後遺障害7級の大きな特徴は、給付が一時金ではなく年金になる点です。症状固定(これ以上よくも悪くもなりにくい状態)後に、後遺障害7級に認定されると、障害が残る限り、原則として毎年、年金の支給が続きます。
後遺障害7級は「医学的な所見」と「仕事の制限」の両方が問われます。たとえば神経系や臓器の障害では、検査結果だけでなく、実際に軽い作業以外が難しいことを、日常生活と業務の具体例で説明できるかが認定の分かれ目になります。

労災の後遺障害7級の認定基準(障害等級表)
後遺障害7級は、視力・聴力・神経系・臓器・上肢下肢・手指足など、複数の類型で基準が定められています。障害等級表の考え方に沿って、該当しやすい代表例を確認します。
後遺障害7級は「特定の部位の重い障害」または「機能障害により軽い仕事以外が難しい状態」が中心です。どの類型でも共通するのは、医療記録や検査で裏づけできること、そして障害等級表の定義どおりに評価されることです。
後遺障害の認定では、診断名よりも要件への当てはまりが重視されます。たとえば「難聴」「視力低下」という言葉だけでは足りず、平均純音聴力レベル(dB)や矯正視力など、判定に使う数値が必要です。
以下では、後遺障害7級の代表的な基準を類型別に整理します。
眼の障害(視力・失明)で後遺障害7級になるケース
眼の障害で後遺障害7級となるのは、「一眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの」です。ここでいう失明には、眼球を失った場合だけでなく、明暗の弁別ができない、ようやく明暗がわかる程度といった重い視機能障害も含まれます。
視力は原則として矯正視力(眼鏡、医学的に使用可能なコンタクト、眼内レンズなどで矯正した視力)で判断されます。矯正ができない事情があるときに限り、裸眼視力での評価になります。測定は万国式試視力表など所定の方法で行い、検査距離や照度など条件の違いで数値が変化する点に注意が必要です。
後遺障害診断書では、視力値だけでなく、矯正の可否、矯正方法、検査条件が読み取れるようにしておくことが重要です。
耳の障害(聴力低下)で後遺障害7級になるケース
耳の障害で後遺障害7級となるのは、両耳の高度難聴、または一耳の全失聴に他耳の難聴が重なるようなケースです。等級表の運用では、日常会話が一定の距離で成り立たない程度かどうかで判断されます。
代表的な評価指標は、平均純音聴力レベル(dB)と最高明瞭度です。検査はオージオメトリー(純音聴力検査)等で行い、両耳の平均純音聴力レベルが70dB以上、または両耳50dB以上かつ最高明瞭度50%以下といった形で要件が整理されています。
補聴器を使っている場合でも、後遺障害の認定の場面では「検査上の数値」と「会話の支障」がセットで説明できることが大切です。診断書や意見書に、補聴器の使用状況、職場での聞き取り困難(電話応対、指示の聞き漏らし、安全確認ができない等)を具体的に記載できると、生活・就労への影響が伝わりやすくなります。
神経系・精神の障害で後遺障害7級になるケース
神経系統の機能または精神に障害が残り、「軽易な労務以外」に服せない状態が後遺障害7級に該当します。ポイントは、単に症状があることではなく、平均的な人と比べて労働能力が大きく落ちていることを、医学と就労実態の両面から示すことです。
就労面の制限としては、作業効率の低下、ミスの増加、注意の持続が難しい、段取りが組めない、対人対応が極端に疲れる・混乱するなどが典型です。体力的には動けても、複数工程の処理や安全配慮が必要な仕事に適応できない場合、評価につながることがあります。
画像所見や神経学的所見、心理検査などの医学的資料と、日常・業務上の支障を関連づけることが重要です。例えば「検査で注意機能の低下が示され、実務ではチェック漏れが増え単独作業が難しい」といった形で、数字と現場の事実が結び付くと後遺障害認定の判断がしやすくなります。
胸腹部臓器・生殖器の障害で後遺障害7級になるケース
胸腹部臓器の機能障害でも、「軽易な労務以外」に服せない場合に7級の対象になり得ます。臓器障害は見た目で分かりにくい一方、検査値や治療内容で客観化しやすいため、必要な検査がそろっているかが重要になります。
呼吸器ではスパイロメトリーや血液ガス、呼吸困難の程度が判断材料になります。循環器ではデバイス植込みや弁置換など治療内容が等級評価に影響し、泌尿器では腎機能(GFR等)、尿路変向術の有無、尿失禁の持続性とパッド交換頻度などが具体的なポイントです。生殖器では、例えば男性の両側こう丸の喪失など、要件が明確な類型もあります。
認定の実務では、検査値の提示だけでなく、日常生活と仕事の制限が継続していることの記録が重要です。通勤で息切れが強い、重量物が扱えない、トイレの確保が必須で外回りが難しいなど、生活上の制限が就労の制限につながっている状況を、診療録や診断書で説明できるように整えていきます。
上肢の障害(偽関節・運動障害)で後遺障害7級になるケース
上肢の障害では、偽関節(骨が癒合せず不安定な状態)を残し、著しい運動障害がある場合に7級となることがあります。ここでは、単なる痛みや違和感よりも、骨癒合不全が画像等で確認でき、機能障害が強いことが重視されます。
評価に影響しやすいのは、癒合不全の部位、常時硬性補装具が必要かどうか、可動域制限や把持・持ち上げ動作の困難さです。例えば工具を安定して握れない、反復作業で痛みと脱力が強く継続できないといった具体的な支障が、運動障害の説明材料になります。
診断書に加えて、X線などの画像所見と機能評価(可動域計測や筋力の所見)がセットで示されると、認定の根拠が明確になります。治療経過の中で固定や手術を繰り返している場合は、その経緯が「残存障害の不可逆性」を裏づける要素にもなります。
下肢の障害(偽関節・運動障害)で後遺障害7級になるケース
下肢でも、偽関節が残り著しい運動障害がある場合に7級の対象となり得ます。歩行はできても、骨が安定せず荷重に制限がある、常時装具が必要といった状態は、仕事選択に大きな制約を生みます。
大腿骨や脛骨などの癒合不全が画像で確認できること、常時硬性補装具の必要性、歩行能力や荷重制限、関節可動域や筋力低下の評価がポイントです。例えば、平地は何とか歩けても長距離の歩行で疼痛が増悪する、階段や段差で転倒リスクが高い、立ち仕事が継続できないなど、具体的な制限が重要になります。
通院歴や手術歴と、現在の機能障害が連続して説明できることも大切です。労災では「事故後から一貫して症状が残っている」ことの整合性が見られやすいため、治療の中断理由や症状の波がある場合も、医療記録上の説明を整えておくのがよいです。
手指の障害(欠損・機能廃失)で後遺障害7級になるケース
手指の障害は、欠損(失った)と機能障害(用を廃した)で基準が分かれます。7級の典型は「一手の母指を含み3指、または母指以外の4指を失ったもの」や、「一手の5指、または母指を含む4指の用を廃したもの」です。
「失った」は切断部位で定義され、母指は指節間関節(IP)以上、その他の指は近位指節間関節(PIP)以上の喪失が基本になります。一方「用を廃した」は、末節骨の半分以上の欠損、関節の著しい運動障害、感覚脱失など、機能面の喪失で判断されます。
実務では、写真や画像、可動域計測、神経障害が疑われる場合は神経伝導検査などで、欠損・運動制限・感覚障害を証拠化することが重要です。特に「握る」「つまむ」「支える」といった動作は仕事への影響が大きいため、職種に即して、どの作業がどの程度できないかを具体化すると、等級要件との結び付きが強まります。
足の障害(リスフラン関節以上の切断)で後遺障害7級になるケース
足の障害で7級の代表例は、「一足をリスフラン関節以上で失ったもの」です。リスフラン関節は足根骨と中足骨の間にある関節で、切断部位がここ以上(より体幹側)かどうかが判断の軸になります。
該当例としては、リスフラン関節での離断や、足根骨レベルでの切断などが想定されます。切断そのものが要件に直結しますが、実際の生活・就労では、義足や装具の適合、歩行能力、残端(切断端)の皮膚トラブルなどが大きな課題になります。
認定実務でも、装具・義足の使用状況、歩行可能距離、段差や悪路での転倒リスク、長時間の立位が難しいといった点は、生活への影響を説明する材料になります。単に「歩ける」かではなく、「安定して安全に働けるだけの歩行ができるか」が重要なポイントになります。
労災の後遺障害7級のまとめ
労災保険において、7級の後遺障害と認定されるのは、次の場合です。

後遺障害7級に認定されるといくらもらえる?労災保計の支給内容と金額の目安
後遺障害7級は年金給付の対象で、支給の柱は障害補償年金と、障害特別支給金・障害特別年金です。給付基礎日額をもとにした計算の考え方と、全体像をつかみます。
後遺障害7級に認定されると、中心となる給付は障害補償年金で、これに上乗せとして障害特別支給金や障害特別年金が支給されます。労災は「賃金に近い形での補償」を年単位で続ける設計だと理解すると分かりやすいです。
給付基礎日額とは、労災事故発生日の直前3ヶ月間の賃金の総支給額を日割り計算したものです。同じ後遺障害7級でも、給付基礎日額が違えば年金額も大きく変わります。
障害補償年金
後遺障害7級の障害補償年金は、原則として給付基礎日額の131日分が年額の基準になります。計算の形はシンプルですが、そもそもの給付基礎日額が適正かどうかで、受給額が決まります。
重要なのは、後遺障害7級が年金である以上、障害が残る限り支給が継続する点です。短期の金額だけでなく、長期の生活設計として、就労状況の変化や治療の継続とあわせて、受給の位置づけを整理しておくことが重要です。
障害特別支給金
障害特別支給金は、後遺障害7級に該当した場合に年金とは別枠で支給される一時金です。年金が「継続的な補償」を担うのに対して、特別支給金は被災後の負担を幅広く補う趣旨の給付として位置づけられます。
受給のタイミングとしては、障害補償給付の請求と同時に扱われ、認定・支給決定の流れの中で支給されるのが一般的です。
後遺障害7級の場合、障害特別支給金として、159万円が支給されます。
障害特別年金
障害特別年金は、障害補償年金に上乗せされる形で支給される給付です。ベースとなる障害補償年金が給付基礎日額で計算されるのに対し、障害特別年金は算定基礎日額で計算されます。算定基礎日額とは、労災事故発生日の直前1年間の賞与を365日で割って計算します。
受給者側で大切なのは、算定の根拠となる賃金資料が適切に反映されているかを確認できる状態にしておくことです。勤務形態や手当の有無で資料が複雑になると、説明不足のまま処理されてしまうこともあります。
支給決定後に疑問が出た場合は、決定通知の算定根拠を確認し、必要に応じて労働基準監督署へ照会します。
後遺障害7級の障害補償給付の計算
具体的なケースで、7級の障害補償給付の金額を計算してみます。
毎月の給料が月額30万円、1年間の賞与が60万円の労働者が10月1日に労災事故にまきこまれてしまい、後遺障害7級と認定されたケースで、障害補償給付の金額を計算すると、次のとおりとなります。
①障害補償年金
まずは、直近3ヶ月間の給付基礎日額を計算します。
7月は31日、8月は31日、9月は30日なので、(30万円+30万円+30万円)÷(31日+31日+30日)=9,782.6
1円未満の端数は、1円に切り上げるので、給付基礎日額は、9,783円となります。
7級の場合、障害補償年金は、給付基礎日額の131日分が支給されますので、9,783円×131日=1,281,573円となります。
②障害特別年金
まずは、直近1年間の算定基礎日額を計算します。
1年間の賞与が60万円なので、365日で割ると、60万円÷365日=1,643.8となり、1円未満の端数は1円に切り上げるので、算定基礎日額は、1,644円となります。
7級の場合、障害特別年金は、算定基礎日額の131日分が支給されますので、1,644円×131日=215,364円となります。
③障害特別支給金
7級の場合の障害特別支給金は、159万円です。
療養補償給付と休業補償給付
療養補償給付は、労災による治療費や薬代、手術、リハビリ、装具などをカバーする給付で、原則として自己負担なく治療を受けられる仕組みです。すなわち、労災保険を利用することができれば、無料で治療を受けられることができるようになるので、安心して治療に専念できます。
休業補償給付は、労災で働けず賃金が出ない(または減った)ときの所得補填です。一般に給付基礎日額の60%が休業補償給付、上乗せとして20%の特別支給金が支給され、満額の賃金が補填されるわけではありません。ようするに、給料の約80%が労災保険から支給されるのです。

後遺障害7級の申請手続きの流れ
後遺障害(障害等級)認定は、治療が一定程度落ち着いた段階で、必要書類をそろえて労働基準監督署へ請求する流れが一般的です。
大まかな流れは、症状固定の判断、後遺障害診断書などの作成、必要書類の提出、労働基準監督署での審査、支給決定という順番です。労災は「治ったかどうか」ではなく「これ以上の回復が見込みにくい状態か」を区切りに、後遺障害の評価へ進みます。
後遺障害の申請では、医療機関に後遺障害診断書の作成を依頼し、検査結果(画像、聴力検査、肺機能検査など)をそろえます。後遺障害の類型によっては、過去の検査が要件を満たす形で残っていないことがあるため、症状固定前後で追加検査が必要になることもあります。
提出先は所轄の労働基準監督署で、会社の協力が必要になる書類もあります。トラブルを避けるには、提出前にコピーを保管し、いつ・何を提出したかを時系列でメモしておくことが有効です。不備があると審査が止まり、支給開始が遅れる原因になります。
後遺障害診断書で押さえるべきポイント
後遺障害認定の実務では、医師の後遺障害診断書の記載内容が判断の土台になります。等級表の要件に対応する所見・検査結果・日常生活/就労上の支障が漏れないように準備します。
後遺障害診断書は、認定担当者が最初に読み、判断の中心に据える書類です。そのため「症状の説明」ではなく、「等級表の要件に必要な情報がそろっているか」という観点で点検することが大切です。
具体的には、視力なら矯正視力と検査条件、聴力なら平均純音聴力レベルや明瞭度、偽関節なら画像所見と装具の必要性、神経・精神なら検査所見と就労制限など、類型ごとに必要な資料があります。診断書に書かれていない情報は、基本的にないものとして扱われやすいため注意が必要です。
また、日常生活の支障と業務上の支障が、医学所見とつながっていることが重要です。例えば「歩けるが長時間の立位で痛みが増悪し、勤務中に休憩が頻回になる」「電話応対で聞き漏らしが続き安全確認ができない」など、症状が仕事の制限にどう直結するかを具体化すると、後遺障害と認定されやすくなります。
認定結果に不服がある場合の審査請求・再審査請求
認定結果に納得できない場合、行政不服申立てとして審査請求・再審査請求の手段があります。
認定結果が想定より低い、または非該当となった場合でも、不服申立ての手段があります。労災では行政不服申立てとして、まず審査請求、その次に再審査請求という流れが用意されています。
不服申立てで重要なのは、単に「納得できない」と主張するのではなく、どの要件がどう満たされているのに評価されていないかを整理し、追加資料で補強することです。例えば、聴力の再検査、装具の常時使用の証明、就労制限を示す勤務記録や業務内容の説明資料など、争点に直結する証拠を集めます。
期限や提出先を誤ると手続きが進められないため、決定通知を受け取ったら早めに行動計画を立てます。医療記録の取り寄せには時間がかかることも多いので、提出期限から逆算して準備することが、重要です。

会社に対する損害賠償請求
労災保険からは、慰謝料は支給されません。また、労災事故による後遺障害によって労働能力が一部喪失し、将来得られるはずであった収入が減少する損害である逸失利益の一部しか、労災保険からは補償されません。
このように、労災保険から補償されない損害について、会社に対して、損害賠償請求ができないかを検討することになります。
安全配慮義務違反
会社に損害賠償を請求するには、労災が起きたことに加えて、会社の法的責任(安全配慮義務違反等)を根拠づけることが必要です。
会社への損害賠償請求は、労災認定があるだけで必ず認められるわけではありません。労災事故が業務中に起きたことに加えて、会社が安全に働ける環境を整える義務を怠ったなど、法的責任を具体的に主張立証する必要があります。
典型は安全配慮義務違反です。安全配慮義務とは、労働者の生命・健康を危険から保護するように、会社が配慮する義務をいいます。会社が、労働安全衛生法令やガイドラインに違反していた場合、安全配慮義務違反が認められます。
例えば、危険作業に対する安全教育が不十分だった、保護具が支給されていない、機械の安全装置が不備、作業手順が形骸化していた、過重労働で注意力が低下する環境だったなど、労災事故につながる会社の管理上の問題が焦点になります。
労災事故が発生した会社に、労働安全衛生法令やガイドラインに違反していなかったについて、検討します。その結果、会社に労働安全衛生法令やガイドラインの違反が認められた場合、安全配慮義務違反があったとして、会社に対して、損害賠償請求をします。
責任の立証では、労災事故状況の客観資料が重要です。現場写真、設備点検記録、マニュアル、KY活動記録、シフト表、同僚の証言など、会社側が管理している資料ほど後から入手しにくいため、早期に確保することが重要です。
労災とは別に請求できる賠償金(慰謝料・逸失利益など)
労災保険は一定の給付を行いますが、会社に安全配慮義務違反等がある場合などは、別途「損害賠償」として慰謝料や逸失利益、休業損害の差額などを請求できることがあります。
労災保険は、原因が誰にあるかを問わず一定の補償をする制度ですが、だからといって被害がすべて補償されるわけではありません。特に慰謝料は、労災保険の枠組みには存在せず、会社側に責任があるときに民事上の損害賠償として問題になります。
入通院慰謝料
入通院慰謝料は、入院や通院を余儀なくされた精神的苦痛に対する慰謝料です。入院期間、通院期間・頻度、けがの程度、治療内容などの客観事情から算定されます。例えば、入院2ヶ月、通院3ヶ月の場合、入通院慰謝料は、154万円になります。
慰謝料は感覚的な話に見えますが、通院実日数や診療録、治療計画の整合性が重視されます。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料は、完治せず後遺障害が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料です。等級に応じた相場があり、7級の後遺障害慰謝料は、1000万円が相場です。
後遺障害慰謝料は、後遺障害等級が前提になるため、認定資料の精度がそのまま金額に直結します。後遺障害7級を取り切れるか、併合の評価が適切かといった点も含めて確認が必要です。
逸失利益
逸失利益は、後遺障害で将来の労働能力が落ち、得られたはずの収入が減る損害をいいます。逸失利益は、基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数で計算します。
基礎収入とは、労災事故の前年の年収のことです。
労働能力喪失率は、後遺障害によって、労働者の労働能力がどれくらいの割合で喪失したかを算出するものです。後遺障害7級の労働能力喪失率は目安として56%となります。
労働能力喪失期間は、後遺障害による労働能力が喪失された期間のことで、原則として、67歳から症状固定時の年齢を差し引いて計算します。
仮に40歳で症状固定した場合、労働能力喪失期間は、27年間となります。
ライプニッツ係数とは、労災事故などの損害賠償金に生じる中間利息を控除するための係数です。逸失利益の損害賠償請求では、将来にわたる損害賠償金を一度に受け取ることなります。その損害賠償金を運用すると利息が生じるので、この利息分を控除するために、ライプニッツ係数を使用します。27年に対応するライプニッツ係数は、18.3270です。
年収420万円の被災労働者のケースで逸失利益を計算すると、次のとおりとなります。
420万円×56%×18.3270=43,105,104円
この逸失利益の金額から、障害補償給付のうち、障害補償年金を控除します。障害補償給付のうち、障害特別年金と障害特別支給金は控除されません。
障害補償年金を1年分1,281,573円受給した場合、会社に対して請求できる逸失利益は、43,105,104-1,281,573=41,823,531円となります。
このように、逸失利益は、数千万円規模になるケースも珍しくありません。

弁護士に相談するメリットと相談タイミング
弁護士に相談するメリットは、単に交渉を代行することだけではありません。適正な後遺障害等級の認定に向けた医学資料の収集、慰謝料や逸失利益の算定、損益相殺を踏まえた最終手取りの見通し、責任の根拠となる証拠の確保と主張など、適切な補償と損害賠償を獲得するための支援をすることができます。
特に7級では、逸失利益が主戦場になりやすく、就労状況の評価や将来予測が争点になりやすいです。会社や保険会社は「今働けているなら減収はない」と主張しがちですが、実際には配置転換や評価の低下、昇給機会の喪失など、見えにくい不利益が積み上がることがあります。こうした点を丁寧に主張立証し、損害として構造化する作業が重要になります。
相談タイミングは、症状固定前後(診断書作成前)から、認定結果後、示談前までが特に重要です。症状固定後に診断書の修正が難しくなるケースもあるため、早目に弁護士に法律相談をすることをおすすめします。
労災の後遺障害7級のまとめ
労災の後遺障害7級は、障害補償年金の対象となる等級で、認定されると給付基礎日額をもとにした年金が継続して支給されます。
後遺障害の認定基準は、視力・聴力・手指や足の欠損のように数値や部位で決まりやすい類型もあれば、神経・精神や臓器障害のように就労制限の説明が重要になる類型もあります。自分の症状がどの基準で評価されるかを理解し、必要な検査と主治医の診断結果をそろえることが重要です。
後遺障害と認定された後に、労災保険から支給されない慰謝料や、労災保険から一部しか補償されない逸失利益について、会社に対して、安全配慮義務違反が認められる場合には、損害賠償請求を検討します。
後遺障害の認定や損害賠償請求について、お悩みの場合には、ぜひ弁護士へご相談ください。
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まずは弁護士にご相談いただき、ご自身の状況や今後の動きについて一緒に考えていきましょう。
労働災害に強い弁護士が、あなたの抱えている不安を解消し、明るい未来を切り拓きます。

この記事を書いた弁護士
徳田隆裕(とくだ たかひろ)
弁護士法人金沢合同法律事務所 弁護士
2010年弁護士登録。労働者側での労働事件を専門として、解雇、残業、労災といった労働問題で困っている労働者を笑顔にするために、日々弁護活動を行っています。「労働弁護士徳田タカヒロ」というYouTubeチャンネルで、労働問題についての情報発信をしています。
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