労災の後遺障害4級はいくらもらえる?補償額と会社への損害賠償請求を弁護士が解説
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労災事故によって大きなけがを負い、治療を続けても重い障害が残ってしまった場合、労災保険の「障害補償給付」を受けられる可能性があります。
なかでも、障害等級第4級は非常に重い障害です。
後遺障害の第4級に認定された場合には、労災保険から障害補償年金を受け取ることができるほか、障害特別支給金や障害特別年金の対象となります。
さらに、労災事故について会社に安全配慮義務違反などが認められる場合には、労災保険とは別に、会社に対して慰謝料や逸失利益などの損害賠償を請求できる可能性があります。
したがって、「労災保険から補償を受けたから、会社にはもう請求できない」とは限りません。
後遺障害4級が残るような重大な労災事故では、将来の仕事や収入、生活への影響が非常に大きくなる可能性があります。そのため、労災保険の手続だけでなく、会社に対する損害賠償請求についても検討することが重要です。
この記事では、労災事故で後遺障害4級が残った場合について、
- どのような障害が4級に該当するのか
- 労災保険からどのような補償を受けられるのか
- 後遺障害4級ではいくら受け取れるのか
- 労災保険とは別に会社へ損害賠償請求できるのか
- 会社にどのような損害を請求できるのか
などについて、弁護士がわかりやすく解説します。

労災の後遺障害と障害等級の基本
後遺障害4級を理解する前提として、労災の後遺障害が何を指し、障害等級がどのように決まるのかについて解説します。
労災の後遺障害とは、業務中や通勤中のけが・病気が「症状固定」になった後も、身体の欠損や機能低下、感覚障害などが残った状態を指します。治療中の痛みや不調そのものではなく、症状固定後に残った障害が対象になります。
障害等級は1級から14級まであり、数字が小さいほど重く評価されます。後遺障害の等級は「仕事がどれだけできなくなったか」という主観だけでなく、障害等級表に定められた要件に当てはまるか、検査結果や医学的所見で裏付けできるかで判断されます。
4級は重い障害の部類に入り、給付も一時金ではなく年金になります。
後遺障害4級の認定基準
後遺障害4級は「重い障害」に分類され、障害等級表の要件に当てはまるかどうかが重要になります。
後遺障害4級は、視力・聴力の大きな喪失や、咀嚼・発語の重い障害、上肢・下肢の欠損、手指機能の広範な喪失などが典型です。基本は、障害等級表に記載された「数値基準」「欠損部位」「機能の程度」に該当するかで判断されます。
後遺障害の認定の実務では、日常の困りごとの説明だけでは足りず、検査結果や画像、手術記録、評価表などで客観化できるかがポイントになります。
以下では後遺障害の類型ごとに、認定基準で見られやすいポイントと、診断書・検査資料で確認すべき点をまとめます。
眼の後遺障害
眼の後遺障害4級は、両眼の視力が0.06以下になったもので、視力が大きく低下した状態の場合に該当します。ここで重要なのは「矯正視力」が原則として評価対象になる点で、眼鏡や医学的に使用可能なコンタクト、眼内レンズなどで矯正した後の数値が基準になります。
視力は測定条件の影響を受けやすいため、どの視力表で、どの距離で、どの程度の明るさで測ったかといった前提が揃っているかが大切です。検査のたびに条件が違うと、数値がブレて評価が不安定になり、後遺障害と認定されないリスクがあります。
診断書や検査結果では、裸眼視力と矯正視力が明確に区別されているか、矯正が可能か不可能かの理由が書かれているか、左右それぞれの視力が数値で示されているかを確認します。
口の後遺障害
口の後遺障害4級は、咀嚼機能や言語機能に「著しい障害」が残るケースが対象になります。ポイントは、単に食べにくい・話しにくいという感覚ではなく、どの程度まで食事形態が制限されるか、どの範囲の発音が成り立たないかを具体化できるかです。
咀嚼の評価では、噛み合わせ、歯の欠損や補綴の状態、顎の開閉運動などを踏まえ、一般的な食事が困難で粥食に準じる形態でないと摂取できないかといったレベルが問題になります。自己申告だけでなく、歯科・口腔外科の所見、栄養指導の記録、摂食嚥下に関する評価などがあると認定されやすくなります。
言語機能では、発音不能の範囲を評価するため、耳鼻咽喉科や言語聴覚士の評価が重要です。診断書には、どの音が不明瞭ではなく「不能」と判断されるのか、会話の成立状況、代償手段の有無などが整理されているかを確認するのが効果的です。
耳の後遺障害
耳の後遺障害4級は、両耳の聴力をほぼ失った状態が該当し、純音聴力レベルや語音明瞭度など、検査指標で評価されます。特にオージオグラムは判断の土台になるため、検査が適切に行われたか、結果が一貫しているかが重要です。
補聴器を使っている場合でも、原則として等級判断は検査数値に基づきますが、補聴器使用下で生活がどう成り立っているかは、実態説明として意味があります。例えば、職場での指示が聞き取れない、電話応対ができない、危険察知が遅れるなどは、就労上のリスクとして重要になります。
資料としては、オージオグラムの原本、検査日、平均聴力レベルの算定、最高明瞭度の結果などが揃っているかを確認します。
上肢の後遺障害
上肢の後遺障害4級は、上腕の切断など「どの関節より上で失ったか」という欠損部位が重要になります。肘関節以上といった関節の位置関係は、等級表の文言と直結しているため、医療記録で切断部位が明確になっている必要があります。
後遺障害の認定では、事故による外傷の経過、手術内容、断端形成の状況、感染や再手術の有無なども含めて、客観記録で確認されます。画像(X線など)や手術記録が揃うと、欠損部位の争いが起きにくくなります。
義手の有無は生活上の機能に影響しますが、欠損の事実そのものが変わるわけではありません。診断書では、切断部位、残存機能、義手の装着状況、日常生活動作での制限を整理し、部位と機能の両面から説明できる形にしておくと認定されやすくなります。
手指の後遺障害
手指の後遺障害4級は「両手の手指の全部の用を廃したもの」など、手指としての実用性が広範に失われた状態が対象です。欠損がなくても、関節の著しい可動域制限、強い変形や疼痛による実用不能、感覚の完全脱失などで「用廃」と評価されることがあります。
評価では、どの関節がどの程度動かないのかが重要で、MP、PIP、IPといった関節ごとの所見が必要になります。左右差や健側比で示されることもあるため、計測方法と数値の記載が揃っているかがポイントです。
感覚障害が中心の場合は、外傷で神経が損傷し得る状況があったかという事実経過に加え、神経伝導検査などで客観的に裏付けできるかが重要になります。後遺障害診断書には、握る・つまむ・ボタンを留めるなど具体的動作の可否と、検査所見が矛盾なく書かれていることが重要です。
下肢の後遺障害
下肢の後遺障害4級は、一下肢を膝関節以上で失ったものや、両足を一定の関節以上で失ったものなど、欠損部位と等級が強く結びつく類型となります。膝、足関節、リスフラン関節など、どの部位で失ったかが、そのまま後遺障害の等級の判断に影響します。
そのため、画像や手術記録で切断部位が明確になっているかが最重要です。加えて、断端の状態や痛み、義足装着の可否、歩行の安定性などは、生活・就労への影響を説明するうえで重要な補強材料になります。
歩行能力は主観的に語られがちですが、「どのくらい歩けるか」「杖や装具の必要性」「段差や階段での危険性」など、具体的状況で示すのが効果的です。
労災後遺障害4級のまとめ
労災保険において、4級の後遺障害と認定されるのは、次の場合です。

後遺障害4級で支給される障害補償給付の金額
後遺障害4級は年金給付の対象等級に含まれ、給付基礎日額をもとに支給額が計算されます。給付基礎日額は、原則として「労災事故発生日(または発病日)直前3か月間に支払われた賃金総額」を、その期間の歴日数で割って算出します。
労災の障害等級4級に認定されると、年金が支給されます。支給額は一律の定額ではなく、給付基礎日額(原則として平均賃金相当)に、後遺障害の等級ごとの所定日数を掛けて年額が決まります。
後遺障害4級の年金支給の所定日数は「213日分(1年につき)」です。つまり、給付基礎日額が高いほど年金額も高くなり、申請の前提となる賃金資料の確認が重要になります。
障害補償年金
後遺障害4級に該当すれば、障害補償年金が支給されます。年金は、障害が存する期間、毎年支給される仕組みで、年額は給付基礎日額に等級ごとの所定日数を掛けて計算します。後遺障害4級の場合、給付基礎日額の213日分の障害補償年金が支給されます。
受給開始は、原則として症状固定後に等級認定がされ、支給決定が出てからです。
障害特別年金・障害特別支給金
労災には、障害補償給付とは別に、上乗せとして支給される特別給付として、「障害特別年金」「障害特別支給金」があります。
障害特別支給金は一時金として支給され、当面の環境整備や生活の立て直しに充てられる場面もあります。後遺障害4級の場合、障害特別支給金は、264万円です。
障害特別年金は、賞与の支給がある被災労働者に支給され、算定基礎日額の213日分が支給されます。算定基礎日額は、労災事故発生日以前1年間に受けたボーナス(特別給与)の総額を「365日」で割って求めた1日あたりの額のことです。
後遺障害4級の障害補償給付の計算
具体的なケースで、4級の障害補償給付の金額を計算してみます。
毎月の給料が月額30万円、1年間の賞与が60万円の労働者が10月1日に労災事故にまきこまれてしまい、後遺障害4級と認定されたケースで、障害補償給付の金額を計算すると、次のとおりとなります。
①障害補償年金
まずは、直近3ヶ月間の給付基礎日額を計算します。
7月は31日、8月は31日、9月は30日なので、(30万円+30万円+30万円)÷(31日+31日+30日)=9,782.6
1円未満の端数は、1円に切り上げるので、給付基礎日額は、9,783円となります。
4級の場合、障害補償年金は、給付基礎日額の213日分が支給されますので、9,783円×213日=2,083,779円が、1年間の年金額となります。
②障害特別年金
まずは、直近1年間の算定基礎日額を計算します。
1年間の賞与が60万円なので、365日で割ると、60万円÷365日=1,643.8となり、1円未満の端数は1円に切り上げるので、算定基礎日額は、1,644円となります。
4級の場合、障害特別年金は、算定基礎日額の213日分が支給されますので、1,644円×213日=350,172円となります。
③障害特別支給金
4級の場合の障害特別支給金は、264万円です。

労災事故から後遺障害給付を受けるまでの流れ
後遺障害は「症状固定」後に、障害補償給付の申請し、労働基準監督署の調査を経て認定されます。
後遺障害の手続は、治療が終わっていない段階では進められず、基本的に症状固定後に申請します。焦って申請しても、必要な検査結果が揃わず不利になることがあるため、症状固定の判断と必要資料の準備が重要です。
実務で重要なのは、後遺障害診断書に等級判断に必要な情報が過不足なく書かれているか、検査資料が添付されているか、労災事故から症状固定までの経過に矛盾がないかです。
症状固定と後遺障害診断書
症状固定とは、治療を続けてもこれ以上の改善が医学的に見込めない状態を指します。痛みが残っていても、症状固定になることはあり、症状固定の時期は給付の起算や、その後の争い方にも影響するため、主治医と丁寧に確認する必要があります。
後遺障害診断書には、傷病名だけでなく、残存症状、検査結果、可動域、神経学的所見、補装具の使用状況、日常生活での支障など、等級判断に直結する情報が求められます。必要な検査が終わってから、主治医に後遺障害診断書を作成してもらうのが基本です。
障害補償給付の申請先と必要書類
障害補償給付の申請先は、所轄の労働基準監督署です。業務災害か通勤災害かで書式が異なることがあるため、労災事故の区分に合った請求書を使う必要があります。
必要書類の中心は、障害補償給付の請求書、後遺障害診断書、各種検査資料(オージオグラム、視力検査結果、画像、手術記録など)です。
労働基準監督署の調査と認定結果
労働基準監督署では、労災事故の事実関係や治療経過、症状固定の状況を確認し、提出された医学資料をもとに、後遺障害の等級該当性を判断します。内容によっては追加資料の提出や、検査の再確認を求められることがあります。
認定結果は、等級認定または非該当として通知されます。希望より低い等級や非該当の場合でも、そこで終わりではなく、不服申立てをすることができます。

損害賠償請求
労災保険は手厚い一方、慰謝料は支給されません。また、労災事故による後遺障害によって労働能力が一部喪失し、将来得られるはずであった収入が減少する損害である逸失利益の一部しか、労災保険からは補償されません。
会社側に安全配慮義務違反がある場合、労災保険とは別に損害賠償を求められる可能性があります。
労災保険は、治療費や休業、障害給付といった生活の基盤を支える制度ですが、損害の全てを補償する仕組みではありません。
会社への損害賠償請求が問題になるのは、会社に安全配慮義務違反がある場合です。危険を予見できたのに対策を取らなかった、教育や監督が不足していた、設備の安全装置が欠けていたといった事情があれば、労災保険とは別に不足分の損害賠償を求める余地があります。
ただし、会社への損害賠償請求は自動的には認められず、労災事故態様と会社の落ち度を具体的に主張立証する必要があります。
安全配慮義務違反
労災事故において、会社に損害賠償請求できる典型は、会社に安全配慮義務違反がある場合です。安全配慮義務とは、労働者の生命・健康を危険から保護するように、会社が配慮する義務をいいます。具体的には、危険な作業をさせるのに保護具や安全装置が不十分、手順書が現場実態と合っていない、教育・指導が形だけで危険予知が機能していない、といった場合、会社の安全配慮義務違反が認められる可能性があります。
安全配慮義務違反の主張立証では、「労災事故が起きた」という事実だけでは足りず、どの労働安全衛生法令や厚生労働省の通達等に照らして、会社の安全管理が不足していたのかを具体化する必要があります。就業場所の点検記録、作業手順書、教育記録、ヒヤリハット報告、過去の類似事故、再発防止策の有無などによって、安全配慮義務違反があったことを主張立証していきます。
会社側は、労災事故の偶発性や本人の不注意を強調して責任を限定しようとしてきます。そのため、労災事故当日の状況だけでなく、普段から危険が放置されていた事情や、無理な工程・人員配置があった事情まで含めて「構造的に起きた労災事故」であることを示すのが効果的です。
労災保険とは別に請求できる損害賠償(慰謝料・逸失利益など)
労災保険は一定の給付を行いますが、会社に安全配慮義務違反等がある場合などは、別途「損害賠償」として慰謝料や逸失利益などを請求できることがあります。
労災保険は、原因が誰にあるかを問わず一定の補償をする制度ですが、だからといって被災労働者に生じた損害がすべて補償されるわけではありません。特に慰謝料は、労災保険の枠組みには存在せず、会社側に責任があるときに民事上の損害賠償として問題になります。
入通院慰謝料
入通院慰謝料は、入院や通院を余儀なくされた精神的苦痛に対する慰謝料です。入院期間、通院期間・頻度、けがの程度、治療内容などの客観事情から算定されます。例えば、入院2ヶ月、通院3ヶ月の場合、入通院慰謝料は、154万円になります。
慰謝料は感覚的な話に見えますが、通院実日数や診療録、治療計画の整合性が重視されます。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料は、完治せず後遺障害が残ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料です。後遺障害の等級に応じた相場があり、4級の後遺障害慰謝料は、1670万円が相場です。ただし、これは機械的に決まる金額ではなく、後遺障害の内容、日常生活上の制約、仕事への影響、後遺障害の併合の有無などで増減し得ます。
後遺障害慰謝料は、後遺障害等級が前提になるため、認定資料の精度がそのまま金額に直結します。後遺障害4級を前提にできるか、併合の評価が適切かといった点も含めて確認が必要です。
逸失利益
逸失利益は、後遺障害で将来の労働能力が落ち、得られたはずの収入が減る損害をいいます。逸失利益は、基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数で計算します。
基礎収入とは、労災事故の前年の年収のことです。
労働能力喪失率は、後遺障害によって、労働者の労働能力がどれくらいの割合で喪失したかを算出するものです。後遺障害4級の労働能力喪失率は目安として92%となります。
労働能力喪失期間は、後遺障害による労働能力が喪失された期間のことで、原則として、67歳から症状固定時の年齢を差し引いて計算します。
仮に40歳で症状固定した場合、労働能力喪失期間は、27年間となります。
ライプニッツ係数とは、労災事故などの損害賠償金に生じる中間利息を控除するための係数です。逸失利益の損害賠償請求では、将来にわたる損害賠償金を一度に受け取ることなります。その損害賠償金を運用すると利息が生じるので、この利息分を控除するために、ライプニッツ係数を使用します。27年に対応するライプニッツ係数は、18.3270です。
年収420万円の被災労働者のケースで逸失利益を計算すると、次のとおりとなります。
420万円×92%×18.3270=70,815,528円
この逸失利益の金額から、障害補償給付のうち、障害補償年金を控除します。障害補償給付のうち、障害特別年金と障害特別支給金は控除されません。
障害補償年金を1年分2,083,779円受給した場合、会社に対して請求できる逸失利益は、70,815,528-2,083,779=68,731,749円となります。
このように、逸失利益は、数千万円規模になるケースも珍しくありません。

損害賠償請求の進め方:示談交渉から解決まで
損害賠償請求では、損害の計算と証拠化を行ったうえで、示談交渉(必要に応じて訴訟)へ進みます。示談交渉では、迅速な解決が実現できる可能性があります。
後遺障害4級では、慰謝料と逸失利益だけで金額が大きくなり、会社は、過失相殺等の主張をして減額をしてきます。そのため、示談交渉に入る前の準備段階で、医学的資料と収入資料、就労実態の資料を揃えておくことが重要です。
解決手段は示談交渉だけでなく、示談交渉において、合意ができなければ訴訟も選択肢になります。訴訟へ移行した場合、解決まで1年以上かかることが多いですが、結果として、大きな損害賠償の金額を獲得できる可能性がありえます。
証拠の集め方(労災事故状況・就労状況・収入資料)
労災事故状況の証拠は、現場写真、現場図、会社の事故報告書、作業指示書、目撃者のメモなどが基本です。時間が経つほど現場の状況は変わるため、可能なら早い段階で現状を撮影し、危険箇所や安全装置の有無が分かる形で証拠に残します。
会社の安全管理を立証するには、マニュアル、教育記録、点検記録、KY活動資料、ヒヤリハット報告などが効果的です。形式だけの資料では弱いので、実際に守られていたか、守れない工程や人員配置だったかといった運用実態まで確認します。
就労・収入の証拠は、就業規則、配置転換記録、業務日報、出勤簿、給与明細、源泉徴収票、確定申告書などです。逸失利益や休業損害は数字で争われるため、収入資料は直近1年だけでなく、収入の推移が分かる形で揃えることをおすすめします。
時効と注意点(労災給付・損害賠償)
障害補償給付は、5年の消滅時効があり、損害賠償請求にも、5年の消滅時効があります。示談交渉をしているからといって当然に時効が止まるわけではないため、時効の完成を猶予するために、裁判を提起する場合もあります。
時効が近い場合、交渉より先に手続的な対応が必要になることもあります。後遺障害4級レベルでは金額も大きくなるため、時間が経って証拠が散逸する前に、記録を確保しながら進めることが安全です。

弁護士に相談・依頼するメリット
4級相当の重い後遺障害では争点が多く、後遺障害の等級認定から損害算定、交渉・訴訟対応まで一体で進める意義が大きくなります。
後遺障害4級では、後遺障害の等級認定の資料の作成だけでなく、会社の安全配慮義務違反の立証、逸失利益の前提の組み立て、労災給付との損益相殺など、多くの論点があります。
弁護士に相談すると、会社への請求見込みの評価、必要証拠の洗い出し、後遺障害診断書や検査の準備、損害額の算定、相手方との交渉戦略等について適切に対応してくれます。特に安全配慮義務違反の立証は、どの条項やガイドラインに違反しているかの調査が重要になり、会社に対する損害賠償請求については、弁護士に依頼することをおすすめします。
労災の後遺障害4級についてよくある質問
Q1 後遺障害4級になると労災からいくらもらえますか?
後遺障害第4級の場合、障害補償年金として、給付基礎日額の213日分が1年間の年金額となります。
これに加え、障害特別支給金264万円と、要件を満たす場合には算定基礎日額213日分の障害特別年金が支給されます。
実際の金額は労災事故前の賃金やボーナスなどによって異なります。
Q2 障害補償年金はいつまでもらえますか?
障害補償年金は、原則として、その後遺障害の状態が続いている限り支給対象となります。
ただし、後遺障害の程度が変化した場合には、等級や給付内容が変更されることがあります。
Q3 労災保険を受け取った後でも会社に損害賠償請求できますか?
可能な場合があります。
会社に安全配慮義務違反や使用者責任などが認められれば、労災保険とは別に損害賠償請求を検討できます。
ただし、同じ損害について二重に補償を受けることはできないため、労災給付との調整が必要になる場合があります。
Q4 会社に過失がなくても労災保険は受けられますか?
労災保険による給付を受けるために、会社の過失が必ず必要になるわけではありません。
業務災害については、会社に落ち度があったかどうかとは別に、業務と傷病との関係などに基づいて労災に該当するかが判断されます。
一方、会社に対して民事上の損害賠償を請求する場合には、安全配慮義務違反など、会社側の法的責任を基礎づける事情が必要となります。
Q5 自分にもミスがあった場合、会社に損害賠償請求できませんか?
被災した労働者側にも一定の過失があったからといって、当然に損害賠償請求ができなくなるわけではありません。
会社側にも労災事故について責任が認められる場合には損害賠償請求が可能ですが、被災労働者側の過失の程度によっては、過失相殺によって賠償額が減額される可能性があります。
Q6 退職した後でも会社に損害賠償請求できますか?
退職したというだけで、在職中に発生した労災事故について会社に対する損害賠償請求権が当然になくなるわけではありません。
ただし、損害賠償請求権には消滅時効がありますので、長期間放置することはおすすめできません。
労災事故から時間が経過すると、事故現場の状況が変わったり、関係者の記憶が薄れたり、資料が廃棄されたりするなど、証拠の確保が難しくなる可能性もあります。
重大な労災事故の場合には、できるだけ早い段階で弁護士に相談することが大切です。
労災の後遺障害4級のまとめ
後遺障害4級では、労災保険で受け取れる給付を確保しつつ、慰謝料や逸失利益など損害賠償で請求すべき費目を整理し、損益相殺を踏まえて請求全体を設計することが重要です。
後遺障害4級は、労災給付の年金等で一定の生活補償が得られる一方、慰謝料のように労災保険では補償されない損害が残ります。会社に安全配慮義務違反が認められる場合、損害賠償請求で、労災保険の不足分を回収することが重要になります。
もっとも、会社の責任の有無や損害額の算定は専門的な判断を要するため、適正な補償を受けるには、労災問題に精通した弁護士へ相談することが重要です。
後遺障害4級と認定され、今後の生活や会社への請求について不安を感じている方は、一人で悩まず、ぜひ弁護士へご相談ください。
弁護士による労働災害の相談実施中!
弁護士法人金沢合同法律事務所では、初回相談無料となっております。
まずは弁護士にご相談いただき、ご自身の状況や今後の動きについて一緒に考えていきましょう。
労働災害に強い弁護士が、あなたの抱えている不安を解消し、明るい未来を切り拓きます。

この記事を書いた弁護士
徳田隆裕(とくだ たかひろ)
弁護士法人金沢合同法律事務所 弁護士
2010年弁護士登録。労働者側での労働事件を専門として、解雇、残業、労災といった労働問題で困っている労働者を笑顔にするために、日々弁護活動を行っています。「労働弁護士徳田タカヒロ」というYouTubeチャンネルで、労働問題についての情報発信をしています。
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