労災の後遺障害3級はいくらもらえる?労災保険の補償額と会社への損害賠償請求を弁護士が解説
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労災事故によって重い後遺障害が残り、後遺障害3級に認定された場合、今後の生活や仕事、収入について大きな不安を抱える方も少なくありません。「労災保険からいくら受け取れるのか」、「会社に慰謝料や損害賠償を請求できるのか」、「何から手続きを始めればよいのか」といった疑問をもたれると思います。
労災の後遺障害3級では、原則として障害補償年金や障害特別支給金などの給付を受けられます。また、労災事故について、会社に安全配慮義務違反などの法的責任が認められる場合には、労災保険とは別に、慰謝料や逸失利益などの損害賠償を請求できる可能性があります。
この記事では、後遺障害3級の認定基準、労災保険の補償額と計算例、会社に請求できる損害の内容、損害賠償請求の進め方について、弁護士がわかりやすく解説します。

後遺障害3級の労災保険からの補償
労災で後遺障害3級に認定された場合、主な給付は「障害補償年金」「障害特別支給金」「障害特別年金」の3つです。障害補償年金と障害特別年金は継続的に支給される年金であり、障害特別支給金は一時金です。
障害補償年金
労災で後遺障害3級に認定されると、障害補償年金が支給されます。支給額は給付基礎日額の245日分です。
給付基礎日額は、原則として平均賃金に相当する額で計算されます。平均賃金は一般に、労災事故発生日直前3か月間に支払われた賃金総額を、その期間の暦日数で割って算定します(個別事情で例外計算になる場合があります)。
障害補償年金は、後遺障害が存続する限り支給されます。ただし、後遺障害の状態が変化した場合は、障害等級の変更や支給の調整が行われる可能性があります。
障害特別支給金・障害特別年金
労災の後遺障害3級では、障害特別支給金と障害特別年金も支給されます。障害特別支給金は定額で、3級の場合は300万円が支給されます。
障害特別年金は、賞与などの特別給与を基礎にした給付で、算定基礎日額に所定日数を掛けて計算します。算定基礎日額は、労災事故が発生した直前1年間の賞与を365日で割って計算されたものです。
労災の後遺障害3級の場合、障害特別年金は、245日分が支給されます。
なお、この障害特別支給金と障害特別年金は、会社に対する損害賠償請求の金額から、控除されません。
労災の後遺障害3級の障害補償給付の計算
具体的なケースで、労災の後遺障害3級の障害補償給付の金額を計算してみます。
毎月の給料が月額30万円、1年間の賞与が60万円の労働者が10月1日に労災事故にまきこまれてしまい、後遺障害3級と認定されたケースで、障害補償給付の金額を計算すると、次のとおりとなります。
①障害補償年金
まずは、直近3ヶ月間の給付基礎日額を計算します。
7月は31日、8月は31日、9月は30日なので、(30万円+30万円+30万円)÷(31日+31日+30日)=9,782.6
1円未満の端数は、1円に切り上げるので、給付基礎日額は、9,783円となります。
3級の場合、障害補償年金は、給付基礎日額の245日分が支給されますので、9,783円×245日=2,396,835円が、1年間の年金額となります。
②障害特別年金
まずは、直近1年間の算定基礎日額を計算します。
1年間の賞与が60万円なので、365日で割ると、60万円÷365日=1,643.8となり、1円未満の端数は1円に切り上げるので、算定基礎日額は、1,644円となります。
3級の場合、障害特別年金は、算定基礎日額の245日分が支給されますので、1,644円×245日=402,780円となります。
③障害特別支給金
3級の場合の障害特別支給金は、300万円です。
障害補償年金はいつまで受け取れる?支給時期と注意点
障害補償年金は、原則として後遺障害が存する期間に支給されます。後遺障害3級に認定されたからといって、一定年数で自動的に終了する制度ではありません。ただし、障害の状態が変化した場合には、等級の変更などが問題となることがあります。
また、障害補償年金は通常、偶数月に前月分までが支給される仕組みです。受給権が発生した時期や初回支給日については、労働基準監督署からの通知を確認してください。

労災の後遺障害3級の認定基準
労災の後遺障害3級は、視覚・口腔機能・神経精神・胸腹部臓器・手指の重大な障害など、就労継続が困難となり得る程度の後遺症が対象になります。
後遺障害3級は、労災保険の障害等級表で類型が明確に定められています。診断名よりも、等級表の要件に合う検査数値や機能障害の実態があるかが重要です。
また、同じ部位の障害でも、測定方法や記載の仕方で評価が変わることがあります。例えば視力は原則として矯正視力で評価され、呼吸器は血液ガスや肺機能など複数の指標の整合性が見られます。
目の後遺障害
3級の目の後遺障害は、「1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下」が基準です。視力は原則として矯正視力(眼鏡やコンタクト等で矯正した値)で評価されるため、裸眼が悪くても矯正で改善する場合は基準を満たさないことがあります。
失明の判断は、単に視力が低いというだけでなく、眼球の亡失や、明暗が弁別できない程度など、定義に沿って評価されます。検査では、視力の数値だけでなく、視野障害の有無、矯正の可否、検査条件が診断書にどう記載されているかが重要です。
口の後遺障害
3級の口の後遺障害は「咀嚼又は言語の機能を廃したもの」です。ここでいう「廃した」は重い状態を指し、咀嚼なら流動食以外は摂取できない状態、言語なら発音が広範囲に不能となるレベルが想定されます。
咀嚼機能は歯の欠損数だけで決まるわけではなく、かみ合わせ、顎の運動、痛みや開口障害、補綴(義歯等)でどこまで回復しているかまで含めて総合評価されます。言語機能は、会話がしづらいという主観だけでなく、発音の評価軸に沿った記録が必要です。
神経系の後遺障害
3級の神経系の後遺障害は「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができない」状態が対象です。ここでいう終身労務不能は、単に元の職場に戻れないという意味ではなく、一般的な労務に継続して就くことが困難な程度を指します。
典型は高次脳機能障害や脳外傷、脊髄損傷や麻痺などです。高次脳機能障害では、意思疎通、問題解決、持続力、社会行動といった能力が、職場での実働にどう影響しているかが見られます。身体の麻痺では、筋力や巧緻動作、歩行や階段昇降、装具の要否など、基本動作の制限が中心になります。
臓器系の後遺障害
3級の臓器系の後遺障害は「胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができない」状態が対象です。日常の身の回りのことはある程度できる一方で、就労は困難という状態であり、介護の要否や活動耐性の評価が焦点になります。
実務で多いのは呼吸器障害で、血液ガス(PaO2など)や肺機能検査、歩行可能距離、息切れの程度といった客観指標が重視されます。数値が基準に近い場合は、検査時の状態や測定条件によって評価が変わり得るため、医師の説明と検査結果の一貫性が重要になります。
また、臓器障害は「仕事ができない」と言っても、どの程度の作業負荷で症状が悪化するのかを具体化する必要があります。通勤の可否、階段や坂道での呼吸困難、連続歩行の限界、酸素療法の有無などを記録し、就労困難の根拠を生活の場面で補強することが重要です。
手指の後遺障害
3級の手指の後遺障害は「両手の手指の全部を失ったもの」です。ここでいう手指を失ったとは、母指は指節間関節、その他の手指は近位指節間関節以上を失ったものをいいます。
手指喪失の評価は、見た目の欠損だけでなく、どの関節以上で失ったかが重要です。手術記録、レントゲンなどの画像、切断端の状態、残存指の可動域や機能の記録が、等級表の要件に沿って揃っているかが重要になります。
どの指のどの関節で離断したか、左右それぞれの欠損が分かる資料を用意し、診断書にも明確に反映してもらうことが大切です。
後遺障害3級の認定基準のまとめ
労災保険において、3級の後遺障害と認定されるのは、次の場合です。

これらは障害等級表に定められた代表的な内容です。実際の認定では、障害の部位、症状、検査結果、労働能力への影響などが、該当する認定基準に照らして判断されます。
症状固定と後遺障害認定の関係
後遺障害の認定は、原則として傷病が「治ゆ(症状固定)」した後に行われます。症状固定とは、治療を続けても医学上一般に認められた医療を行っても、その効果が期待できなくなった状態をいいます。必ずしも労災事故前の健康状態に戻ったことを意味するものではありません。
症状固定後に障害が残っている場合、障害補償給付の請求を行い、労働基準監督署長によって障害等級が認定されます。
症状固定前に受けられる療養補償給付・休業補償給付
労災の後遺障害3級の認定を受ける前、すなわち、症状固定前には、労災保険から、治療費と休業補償の補償を受けることができます。
療養補償給付は、業務災害による傷病の治療に必要な療養を対象とする給付です。すなわち、労災保険から、治療費が全額支給されるので、被災労働者には、治療費の負担がかかりません。
また、療養のため労働することができず、賃金を受けられない場合には、労災保険から、休業補償給付等が支給されます。休業補償給付として、給料の約80%が、労災保険から支給されます。
症状固定後は、治療段階の給付から障害補償給付へと制度上の取扱いが変わるため、症状固定について、医師の判断や労働基準監督署の決定を確認することが重要です。

後遺障害等級認定の手続きの流れ
労災の後遺障害の認定は、症状固定後に必要書類(診断書等)を揃えて労働基準監督署へ請求し、審査・決定を経て、後遺障害の等級が認定されます。
手続きとしては、症状固定の決定、後遺障害診断書などの作成、労働基準監督署への請求、審査、等級決定という流れです。
重要なのは、医師が作成する後遺障害診断書で、ここに等級表の要件に関係する数値や所見が書かれているかが、実質的な勝負所になります。
後遺障害認定を受けるためのポイント
後遺障害の認定の可否は、通院状況・検査結果・後遺障害診断書の記載など「記録の整合性」で大きく変わります。
後遺障害認定では、症状が重いこと自体よりも、それを裏付ける資料が揃い、矛盾なく説明できるかが問われます。
検査が不足していたり、診断書の文言が等級表とずれていると、症状が重くても、後遺障害3級に届かないことがあります。
以下の3点を意識することが大切です。
通院を継続し、症状経過の記録を残す
通院間隔が空くと、治療の必要性が低い、症状が軽い、改善していると見られやすくなります。後遺障害は、治療の経過の積み重ねが重要なので、主治医の管理下で継続受診し、症状の推移を診療録に残すことが大切です。
被災労働者側でも、症状日誌として痛みや息切れ、発作、できなかった動作、転倒やヒヤリハット、会話の支障などを具体的に記録しておくと、診断書作成時に医師へ正確に伝えやすくなります。就労状況(欠勤、配置転換、業務負荷の調整)も、労務への影響を示す重要な材料になります。
必要な検査を受け、結果を揃える
後遺障害3級は要件が数値や機能評価に直結するものが多く、検査漏れは避けるべきです。視力・視野、言語や嚥下の評価、画像検査、神経心理検査、肺機能や血液ガス、切断高位の画像など、想定類型に応じた検査を漏れなく揃えることが重要です。
検査は「受けた」だけでは足りず、結果が診断書に反映され、添付資料として提出できる状態になっていることが必要です。日付の近い検査が複数ある場合は、症状固定前後のどの時点の結果を採用するのが合理的かも整理しておくとよいです。
後遺障害診断書を適切に作成してもらう
後遺障害診断書は審査の中心資料であり、ここに何が書かれているかで結論が左右されます。等級表の文言に沿って、要件に関係する検査数値、所見、障害の具体的内容が明確に記載されていることが重要です。
特に記載漏れが起こりやすいのは、矯正視力の有無、左右差、具体的な可否動作、補装具や酸素の使用状況、日常生活動作の範囲などです。
また、診断名が同じでも、労務制限の説明が不十分だと後遺障害3級の「終身労務不能」などの要件に該当しない可能性があります。どの作業なら何分で限界か、対人業務でどのような支障が出るかなど、仕事の具体的場面に応じて記載してもらうのが効果的です。

労災で後遺障害3級になった場合、会社に損害賠償請求できる?
労災保険から給付を受けていても、会社に法的責任が認められる場合には、別途損害賠償請求をすることができます。労災保険からは、労災事故による精神的苦痛に対する慰謝料は支給されませんので、慰謝料については、労災保険とは別に、会社に対する損害賠償請求を検討することになります。後遺障害3級のような重い障害が残った労災事故では、将来の収入減少や生活への影響が大きくなるため、会社への請求を検討することが重要です。
労災認定だけで会社の損害賠償責任が認められるわけではない
労災保険は、業務上の災害であることなどの要件を満たせば、原則として会社の過失の有無にかかわらず給付される制度です。一方、会社への損害賠償請求では、安全配慮義務違反や不法行為などの法的責任が認められる必要があります。すなわち、会社に、安全配慮義務違反や不法行為責任が認められない場合、会社に対する損害賠償請求は認められません。
したがって、「労災に認定されたから必ず会社に慰謝料を請求できる」というわけではありません。労災事故の発生状況、会社が講じていた安全対策、労災事故を防止できた可能性などを具体的に検討する必要があります。
安全配慮義務違反による損害賠償請求
労働契約法5条は、会社が労働者の生命・身体等の安全を確保しつつ労働できるよう、必要な配慮をする義務を定めています。
例えば、危険な機械に適切な安全装置を設置しないまま作業をさせていた場合や、高所作業で必要な墜落防止措置を講じていなかった場合などには、安全配慮義務違反が問題となることがあります。具体的には、会社が、労働安全衛生法令や厚生労働省の通達やガイドラインに違反している事実が認められれば、会社は、安全対策を怠ったとして、安全配慮義務違反が認められることがあります。
もっとも、会社にどのような措置が求められたかは、作業内容や危険の予見可能性などの個別事情によって判断されます。
不法行為責任・使用者責任が問題となるケース
会社自身の過失によって労災事故が発生した場合には、民法709条の不法行為責任が問題となることがあります。また、上司や同僚などの仕事上のミスによって、労災事故が発生した場合には、その上司や同僚が不法行為責任を負うと同時に、会社に対して、民法715条の使用者責任に基づいて、損害賠償請求ができることがあります。
損害賠償請求の法的根拠は一つに限られるものではなく、労災事故の状況に応じて、安全配慮義務違反や不法行為責任などを検討します。

会社に請求できる損害賠償の内訳と金額の考え方
会社に損害賠償責任が認められる場合、被災労働者は、労災事故によって生じた損害について賠償を求めることができます。後遺障害3級では、特に後遺障害慰謝料と逸失利益が重要な項目となります。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ったことによる精神的苦痛に対する賠償です。労災保険からは原則として慰謝料が支給されないため、会社に法的責任がある場合には、民事上の損害賠償として請求することになります。
慰謝料の金額は、後遺障害の内容、日常生活への影響、労災事故の態様などを踏まえて判断されます。後遺障害3級の後遺障害慰謝料の相場は、1990万円です。
逸失利益
逸失利益は、後遺障害で将来の労働能力が落ち、得られたはずの収入が減る損害のことです。逸失利益は、基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数で計算します。
基礎収入とは、労災事故の前年の年収のことです。
労働能力喪失率は、後遺障害によって、労働者の労働能力がどれくらいの割合で喪失したかを算出するものです。後遺障害3級の労働能力喪失率は目安として100%となります。
労働能力喪失期間は、後遺障害による労働能力が喪失された期間のことで、原則として、67歳から症状固定時の年齢を差し引いて計算します。
仮に40歳で症状固定した場合、労働能力喪失期間は、27年間となります。
ライプニッツ係数とは、労災事故などの損害賠償金に生じる中間利息を控除するための係数です。逸失利益の損害賠償請求では、将来にわたる損害賠償金を一度に受け取ることなります。その損害賠償金を運用すると利息が生じるので、この利息分を控除するために、ライプニッツ係数を使用します。27年に対応するライプニッツ係数は、18.3270です。
年収420万円の被災労働者のケースで逸失利益を計算すると、次のとおりとなります。
420万円×100%×18.3270=76,973,400円
この逸失利益の金額から、障害補償給付のうち、障害補償年金を控除します。障害補償給付のうち、障害特別年金と障害特別支給金は控除されません。
障害補償年金を1年分2,396,835円受給した場合、会社に対して請求できる逸失利益は、76,973,400-2,396,835=74,576,565円となります。
このように、逸失利益は、数千万円規模になるケースも珍しくありません。
後遺障害3級の認定基準には、終身労務に服することができない状態などが含まれるため、労働能力への影響が大きいケースが多くなります。ただし、実際の逸失利益は、障害の内容、就労状況、年齢、収入、将来の就労可能性などを踏まえて個別に判断されます。
入通院慰謝料・休業損害
後遺障害が残ったことによる損害だけでなく、労災事故から症状固定までの期間に生じた損害も賠償請求の対象となり得ます。
入通院慰謝料は、治療期間中の精神的苦痛に対する賠償です。入院期間と通院期間から、慰謝料の相場が決められています。
休業損害は、労災事故によって仕事を休まざるを得なかったことによる収入減少の損害です。労災事故の直前3ヶ月間の賃金から、1日当たりの賃金単価を算出し、労災事故から症状固定までの期間に、会社を休業した日数をかけて、休業損害を計算します。労災保険から支給された、休業補償給付、すなわち、給料の約60%分は控除されますが、給料の約20%分の休業特別支給金は控除されません。
労災保険給付と損害賠償の調整(損益相殺)
労災保険から給付を受けた場合、会社への損害賠償額との間で調整が行われることがあります。これは、同じ損害について二重に補填を受けることを防ぐためです。
例えば、休業補償給付は休業損害、障害補償年金は逸失利益など、同じ性質の損害との関係で控除が問題となります。一方、労災保険の特別支給金は、最高裁判例上、損害を填補する性質を有するものではないとして、原則として損害額から控除されないとされています。
また、将来の障害補償年金をどこまで控除するかについては、既に支給された給付と将来支給される給付を区別し、判例や個別事情に基づいて検討する必要があります。障害補償年金が控除されるのは、裁判における口頭弁論終結時までに支給が確定しているものに限られます。
会社への損害賠償請求を進めるための手順
会社への損害賠償請求では、労災事故の原因や会社の責任を明らかにするとともに、損害額を適切に算定することが重要です。特に重い後遺障害が残った場合には、将来の損害も含めて慎重に検討する必要があります。
1労災事故状況と会社の安全管理上の問題を確認する
労災事故現場、作業手順、設備の状態、安全教育の実施状況などを確認し、会社にどのような安全対策が求められていたかを検討します。
2診断書・労災資料・事故報告書などの証拠を集める
診療記録、後遺障害の認定資料、労災事故報告書、現場写真、作業マニュアル、同僚の証言、給与資料などを収集します。労災事故直後の証拠は時間の経過とともに失われることがあるため、早めに証拠を保全することが重要です。
3損害額を計算し、会社や保険会社と交渉する
慰謝料、逸失利益、休業損害などを算定し、労災給付との調整を行ったうえで、会社に損害賠償を求めます。会社が賠償責任保険に加入している場合には、保険会社が交渉に関与することもあります。
会社が裁判を回避したいと考えている場合は、交渉の段階で、損害賠償請求の示談が成立することがあります。
4交渉で解決しない場合は裁判手続きを検討する
会社が責任を否定する場合や、損害賠償額に大きな隔たりがある場合には、訴訟などの手続きを検討します。訴訟に移行すれば、判決までに1年ほどの時間はかかりますが、その間、遅延損害金が発生しますので、判決で勝訴すれば、より多くの損害賠償請求が認められることもありえます。また、判決に至る前に、和解で、事件が解決することもありえます。
損害賠償請求の時効に注意する
人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権については、損害及び加害者を知った時から5年で時効にかかります。時効が完成してしまうと、損害賠償請求ができなくなってしまいますので、労災事故に巻き込まれた場合、早急に、労災申請をして、会社に対する損害賠償請求の手続をすすめる必要があります。

後遺障害3級の労災事故で弁護士に相談するメリット
会社の法的責任を適切に判断できる
労災事故では、会社に安全配慮義務違反があるかどうかが重要な争点となります。弁護士に相談することで、労災事故の状況や安全管理体制を法的な観点から整理し、会社に損害賠償請求できる可能性を検討できます。
慰謝料や逸失利益などの損害額を適正に算定できる
後遺障害3級の損害賠償では、将来の収入減少や生活への影響をどのように評価するかによって、損害賠償額が大きく変わる可能性があります。弁護士は、医学的資料や収入資料、裁判例などを踏まえて、請求できる損害の範囲と金額を検討します。その結果、適正な損害賠償請求が可能となります。
労災保険との調整や会社との交渉を任せられる
労災保険の給付と損害賠償の調整は複雑です。また、会社や保険会社との交渉では、法的責任や損害額について専門的な知識が必要となることがあります。弁護士に依頼することで、これらの検討や交渉を任せることができます。
労災の後遺障害3級に関するよくある質問
Q1 後遺障害3級の障害補償年金はいつまでもらえますか?
障害補償年金は、原則として後遺障害が存する期間に支給されます。一定の年齢になっただけで当然に終了するものではありません。ただし、後遺障害の状態が変化した場合には等級の変更などが問題となることがあります。
Q2 労災保険を受け取っていても会社に慰謝料を請求できますか?
はい。会社に安全配慮義務違反や不法行為などの法的責任が認められる場合には、労災保険を受け取っていても、慰謝料を請求することは可能です。労災保険からは、慰謝料が支給されないからです。ただし、会社の責任が認められるかどうかは、労災事故の具体的な状況によって判断されます。
Q3 会社が労災を認めない場合はどうすればよいですか?
労災保険の支給・不支給を判断するのは会社ではなく、労働基準監督署です。会社が労災を認めない場合でも、労働者本人が労災保険の請求を行うことは可能です。会社が事業主証明に協力しない場合などには、所轄の労働基準監督署に相談して、ご自身で、労災の手続をすすめてください。
Q4 退職後でも会社に損害賠償請求できますか?
退職したことだけを理由に、会社への損害賠償請求ができなくなるわけではありません。会社に法的責任があり、請求権が時効によって消滅していない場合には、退職後でも請求できる可能性があります。むしろ、会社に在職中に損害賠償請求するのは気まずいことから、会社を退職した後に、損害賠償請求をするケースが多いです。ただし、退職時に示談書や合意書を取り交わしている場合には、その内容が影響することがあるため、署名前に確認することが重要です。
Q5 後遺障害の等級認定に納得できない場合は?
労災保険の障害等級の決定に不服がある場合には、労働者災害補償保険審査官に対して審査請求をすることができます。審査請求は、原則として決定があったことを知った日の翌日から3か月以内に行う必要があります。
医学的資料や認定基準を確認し、どの点に問題があるのかを整理したうえで、必要に応じて不服申立てを検討します。
Q6 後遺障害3級の労災保険給付はいつまでに請求する必要がありますか?
障害補償給付の請求権は、原則として傷病が治癒した日の翌日から5年で時効により消滅します。症状固定後は、必要な書類を整えて早めに請求手続きを進めることが大切です。
まとめ|後遺障害3級の補償と会社への損害賠償請求は弁護士にご相談ください
労災で後遺障害3級に認定された場合、障害補償年金として給付基礎日額の245日分、障害特別支給金として300万円、障害特別年金として算定基礎日額の245日分が支給されます。これらの給付は、重い後遺障害が残った方の生活を支える重要な制度です。
一方で、労災保険だけでは、精神的苦痛に対する慰謝料や将来の収入減少など、労災事故によって生じた損害のすべてが補填されるとは限りません。会社に安全配慮義務違反などの法的責任が認められる場合には、労災保険とは別に損害賠償請求を検討することができます。
後遺障害3級の損害賠償では、労災事故の原因、会社の責任、後遺障害の内容、将来の収入や生活への影響、労災給付との調整など、さまざまな事情を踏まえた検討が必要です。適切な補償や損害賠償を受けるためにも、労災事故の資料や労災の認定通知を保管し、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
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まずは弁護士にご相談いただき、ご自身の状況や今後の動きについて一緒に考えていきましょう。
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この記事を書いた弁護士
徳田隆裕(とくだ たかひろ)
弁護士法人金沢合同法律事務所 弁護士
2010年弁護士登録。労働者側での労働事件を専門として、解雇、残業、労災といった労働問題で困っている労働者を笑顔にするために、日々弁護活動を行っています。「労働弁護士徳田タカヒロ」というYouTubeチャンネルで、労働問題についての情報発信をしています。
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