労災の後遺障害2級はいくらもらえる?労災保険の補償額と会社への損害賠償請求を弁護士が解説
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仕事中の事故などによって重い後遺障害が残り、労災の障害等級第2級に認定された場合、「労災保険からいくらもらえるのだろう」「会社からも損害賠償を受けられるのだろうか」と疑問に思う方も多いでしょう。
労災の障害等級第2級に認定されると、原則として、障害補償年金として給付基礎日額の277日分が毎年支給されます。
さらに、障害特別支給金320万円が一時金として支給されるほか、ボーナスなどの特別給与がある場合には、算定基礎日額の277日分の障害特別年金も支給されます。
また、会社に安全配慮義務違反などがあった場合には、労災保険からの給付とは別に、会社に対して慰謝料や逸失利益、将来介護費などの損害賠償を請求できる可能性があります。
後遺障害第2級は非常に重い障害です。そのため、会社に対する損害賠償額が高額になるケースもあります。
この記事では、労災の後遺障害第2級について、労災保険からもらえる金額や計算方法、第2級に該当する後遺障害、会社に請求できる損害賠償などについて、弁護士が詳しく解説します。

労災の後遺障害2級ではいくらもらえる?
まず、最も気になる「後遺障害2級ではいくらもらえるのか」という点から説明します。
労災の障害等級第2級に認定された場合、主に次の給付を受けることができます。
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給付の種類 |
後遺障害2級の場合 |
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障害補償年金 |
給付基礎日額×277日分/年 |
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障害特別支給金 |
320万円(一時金) |
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障害特別年金 |
算定基礎日額×277日分/年 |
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介護補償給付 |
一定の要件を満たす場合 |
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会社への損害賠償 |
会社に法的責任が認められる場合 |
重要なのは、「320万円だけをもらって終わり」ではないということです。
第2級の場合、障害補償年金は一時金ではなく、障害が存在する期間について年金として支給されます。
障害補償年金|給付基礎日額の277日分
労災の障害等級第1級から第7級までに認定された場合、後遺障害の程度に応じた年金が支給されます。
後遺障害第2級の場合は、給付基礎日額 × 277日が1年間の年金額です。
「給付基礎日額」とは、労災事故が発生した日の直前3か月間に支払われた賃金の総額を、その期間の暦日数で割った金額です。
たとえば、給付基礎日額が1万円の場合、1万円 × 277日 = 277万円となります。
したがって、このケースでは障害補償年金として年間277万円が支給されることになります。
なお、年金の算定に用いる給付基礎日額には、賃金水準の変動を反映するスライド制や、年齢階層別の最低・最高限度額などが適用される場合があります。そのため、実際の支給額は個別に確認する必要があります。
障害特別支給金|320万円
後遺障害第2級に認定された場合には、障害補償年金とは別に、320万円の障害特別支給金が支給されます。
障害特別支給金は年金ではなく、一時金ですので、1回だけ支給されます。
したがって、毎年320万円が支給されるわけではありません。
「後遺障害2級になったら320万円もらえる」という情報だけを見ると、320万円が補償のすべてであるかのように誤解することがありますが、実際には障害補償年金や障害特別年金もあります。
障害特別年金|算定基礎日額の277日分
ボーナスなどの特別給与を受け取っていた場合には、障害特別年金が支給されることがあります。
後遺障害第2級の場合、算定基礎日額 × 277日が年間の障害特別年金額となります。
算定基礎日額とは、労災事故発生前1年間に支払われたボーナスなどの特別給与を365日で割って算定される金額です。
例えば、算定基礎日額が2,000円の場合、2,000円 × 277日 = 554,000円となります。
したがって、このケースでは障害補償年金として年間554,000円が支給されることになります。
介護補償給付
後遺障害第2級の場合、障害の内容によっては、障害補償年金とは別に介護補償給付を受けられる可能性があります。
後遺障害第2級の場合、神経系統の機能・精神の著しい障害によって随時介護を要する場合または、胸腹部臓器の機能の著しい障害によって随時介護を要する場合が対象となります。
ただし、後遺障害第2級であれば誰でも介護補償給付を受けられるわけではありません。
現に介護を受けていることや、病院・診療所に入院していないこと、一定の施設に入所していないことなどの要件があります。
介護補償給付の金額は、随時介護を要する場合、上限はあるものの、介護に要した費用の額が支給されます。もっとも、介護補償給付の金額は、改定されることがあるため、請求時点の最新の支給額を確認することが大切です。

労災の後遺障害2級とは?
労災保険では、仕事中の事故や通勤災害などによる傷病が治ゆした後も、一定の後遺障害が残った場合、その程度に応じて第1級から第14級までの障害等級が定められています。
ここでいう「治ゆ」は、必ずしも労災事故前の健康な状態に完全に戻ったことを意味するものではありません。
症状が安定し、一般に認められた医療を行っても、それ以上の医療効果が期待できない状態も、労災保険上は「治ゆ(症状固定)」として扱われます。
後遺障害2級に該当する障害
労災保険法施行規則の障害等級表では、第2級として次の障害が定められています。

このように、第2級は日常生活にも重大な影響が生じる非常に重い障害です。
目の後遺障害
目の後遺障害の2級は、「一眼が失明し、他眼の視力が0.02以下」と「両眼の視力が0.02以下」というものです。どちらも視力の数値が鍵になるため、診断書には検査方法と測定値が明確に記載されている必要があります。
視力は、眼鏡やコンタクト等で矯正した「矯正視力」で評価されます。矯正が医学的に困難な場合に限って裸眼視力が問題になり得るため、「普段は裸眼で見えない」という事情だけでは足りず、矯正の可否とその結果を検査で示すことが重要です。
また、「失明」は単に視力が悪いことを指すのではなく、眼球の亡失(摘出)や、明暗の弁別ができない、ほとんどできない状態などが含まれます。視力表(万国式試視力表など)での測定結果と、失明の定義に当たる医学的所見がそろっているかが、重要です。
神経系統・精神の後遺障害
神経系統・精神の後遺障害2級は、脳・脊髄損傷や高次脳機能障害などで、生命維持に必要な身のまわりの動作について「随時介護を要する」状態が該当します。ここでいう介護は、単なる見守りではなく、食事・入浴・排泄・更衣・移動などで具体的に介助が必要な場面があるか、監視が不可欠かといった実態が問われます。
病名よりも、神経学的所見、画像所見(CT・MRI等での器質的病変の裏付け)、検査結果、そして日常生活の支障が一貫して説明できるかで判断が変わります。例えば高次脳機能障害では、記憶・注意・判断・社会行動などの問題が、生活上どの危険や失敗につながり、なぜ介護が必要なのかが具体化されていることが重要です。
家族の介護記録や日常生活報告書で、できること・できないことを時系列と頻度で示し、医師の診断書の「随時介護」判断と整合させることが、効果的です。
呼吸器・胸腹部臓器の後遺障害
胸腹部臓器の後遺障害2級で問題になりやすいのは、呼吸機能が著しく低下し、随時介護が必要な程度に至っているケースです。息切れがあるという自覚症状だけでは足りず、検査指標で機能低下を示し、その結果として日常生活動作に介助が必要になることを結び付けて説明する必要があります。
後遺障害の評価では動脈血ガス(酸素分圧・炭酸ガス分圧)やスパイロメトリー(肺活量や1秒量など)が重要になります。数値が基準に近い場合は、検査条件や測定の再現性、運動耐容能、歩行可能距離、在宅酸素の使用状況など周辺事情が結論に影響し得るため、関連資料をまとめて提出するのが重要です。
上肢の後遺障害
上肢の後遺障害2級は、両上肢を手関節以上で失った場合など、切断・離断の部位要件が明確です。どの関節より近位で失われたかが判断の境界になるため、手術記録や画像、診断書で切断部位が客観的に分かることが重要です。
より重い等級との違いは、切断位置が肘関節より上か下かなど、境界が関節単位で決まる点にあります。
下肢の後遺障害
下肢の後遺障害2級は、両下肢を足関節以上で失った場合など、切断・離断の部位要件で判断されます。足関節の位置関係がポイントになるため、診断書・手術記録・画像で「足関節以上」であることが明確に示されている必要があります。
義足などの装具を使用して歩けるようになったとしても、等級判断は基本的に欠損の部位要件に沿って行われます。
より重い等級との境界は、膝関節以上か足関節以上かなど、こちらも関節単位で決まります。

労災で後遺障害2級の認定を受けるまでの流れ
労災事故で重い後遺障害が残ったからといって、自動的に第2級の年金が支給されるわけではありません。
基本的には、次のような流れで手続きを進めます。
①治療を受ける
まずは労災事故による負傷や疾病について必要な治療を受けます。
この段階では、療養補償給付と休業補償給付を受給します。療養補償給付を受給できれば、労災事故による治療費は、労災保険から全額支給されます。休業補償給付を受給できれば、会社を休業していても、労災保険から給料の約80%分が補償されます。
②治ゆ(症状固定)となる
治療を続けても、それ以上の医療効果が期待できない状態になった場合、労災保険上の「治ゆ」と判断されることがあります。
その時点で身体に一定の障害が残っていれば、障害補償給付の申請を検討します。主治医に、後遺障害診断書を作成してもらいます。
③障害補償給付を請求する
業務災害の場合には「障害補償給付支給請求書」、通勤災害の場合には「障害給付支給請求書」などを所轄の労働基準監督署に提出します。
請求にあたっては、医師による診断内容が重要になります。
④労働基準監督署による審査を受ける
提出された資料などをもとに、障害の状態がどの等級に該当するのかが審査されます。
必要に応じて、面談や追加資料の提出などが行われることもあります。
⑤障害等級の認定・支給決定
後遺障害の審査の結果、第2級に該当すると判断されれば、第2級に応じた障害補償年金などが支給されます。
労働基準監督署の後遺障害の判断に納得がいかない場合、決定の通知を受け取った日の翌日から3ヶ月以内に、審査請求という不服申立ての手続をとることができます。
なお、障害補償給付の請求権は、原則として傷病が治ゆした日の翌日から5年で時効となりますので、早期に手続を進めることをおすすめします。

労災保険とは別に会社へ損害賠償を請求できる場合がある
ここまで説明したのは、基本的に「労災保険から受けられる給付」です。
しかし、労災事故によって後遺障害第2級という重い後遺障害が残った場合、労災保険から給付を受けるだけで終わるとは限りません。
労災事故について会社に法的責任がある場合には、会社に対して損害賠償を請求できる可能性があります。
労災保険を利用しても会社に損害賠償請求できる
「労災保険を使ったら、会社には損害賠償請求できない」と誤解されることがあります。
しかし、労災保険制度と会社に対する民事上の損害賠償請求は別の制度です。
労災保険を利用したからという理由だけで、会社に対する損害賠償請求ができなくなるわけではありません。
ただし、同じ性質の損害について二重に補償を受けることはできないため、労災保険給付と損害賠償との間で調整が行われる場合があります。
会社に安全配慮義務違反がある場合
会社は、労働者が生命・身体などの安全を確保しながら働けるよう、必要な配慮をする義務を負っています。これを、「安全配慮義務」といいます。
労災事故の原因について会社の安全配慮義務違反などが認められれば、会社に対する損害賠償請求を検討できます。
たとえば、
- 必要な安全装置を設置していなかった
- 機械の安全管理が不十分だった
- 危険な作業方法を放置していた
- 必要な安全教育を実施していなかった
- 適切な保護具を支給していなかった
- 必要な人員を配置していなかった
- 過重な長時間労働を放置していた
などが問題となることがあります。
そして、これらの事情から、会社が労働安全衛生法や労働安全衛生規則、厚生労働省の通達に違反している事実が明らかになれば、会社に安全配慮義務違反が認められる可能性が高くなります。
会社以外の第三者に損害賠償請求できる場合もある
労災事故の原因によっては、勤務先だけでなく第三者に損害賠償請求できることもあります。
たとえば、仕事中の交通事故であれば事故の相手方、建設現場の事故であれば元請会社などの責任が問題となるケースがあります。
元請け会社の従業員のミスによって、労災事故に巻き込まれて、けがを負った場合、当該従業員に不法行為に基づく損害賠償請求ができるだけでなく、当該従業員を雇用している元請け会社に対して、使用者責任に基づく損害賠償請求ができる場合があります。
誰に対してどのような請求ができるのかは、労災事故の原因や現場の指揮命令関係などを詳しく調査する必要があります。

後遺障害2級で会社に請求できる損害賠償はいくら?
会社に法的責任が認められる場合には、労災保険では十分に補償されない損害について、会社に賠償を求められる可能性があります。
具体的には、次のような損害が問題となります。
休業損害
労災事故によって仕事を休まざるを得なくなり、収入が減少した場合には休業損害が問題となります。
休業損害は、労災事故の直前3ヶ月間の賃金から、1日当たりの賃金単価を算出し、労災事故から症状固定までの期間に、会社を休業した日数をかけて、休業損害を計算します。
労災保険から休業補償給付を受けている場合、賃金の約60%分に相当する休業補償給付は、請求する損害賠償から控除されますが、賃金の約20%分に相当する休業特別支給金は、請求する損害賠償から控除されません。
そのため、休業損害のうちの、約40%分を損害賠償として請求できることになります。
入通院慰謝料
労災保険からは、労災事故によって受けた精神的苦痛そのものに対する「慰謝料」は支給されません。
そのため、会社に法的責任がある場合には、入院や通院によって受けた精神的苦痛について慰謝料を請求できます。
入通院慰謝料は、入院や通院を余儀なくされた精神的苦痛に対する慰謝料です。入院期間と通院期間から、慰謝料の相場が決められています。例えば、入院2ヶ月、通院3ヶ月の場合、入通院慰謝料は、154万円になります。
後遺障害慰謝料
重い後遺障害が残った場合、その後遺障害によって、将来にわたって受ける精神的苦痛について、後遺障害慰謝料を請求できる場合があります。
第2級は極めて重い障害ですから、損害賠償請求においても後遺障害慰謝料は重要な損害項目となります。
具体的な金額は、障害の内容、事故の態様、裁判実務上の基準などを踏まえて個別に判断されます。後遺障害2級の場合の後遺障害慰謝料は、2370万円が相場となっています。
逸失利益
逸失利益は、後遺障害で将来の労働能力が落ち、得られたはずの収入が減る損害のことです。逸失利益は、基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数で計算します。
基礎収入とは、労災事故の前年の年収のことです。
労働能力喪失率は、後遺障害によって、労働者の労働能力がどれくらいの割合で喪失したかを算出するものです。後遺障害2級の労働能力喪失率は目安として100%となります。
労働能力喪失期間は、後遺障害による労働能力が喪失された期間のことで、原則として、67歳から症状固定時の年齢を差し引いて計算します。
仮に40歳で症状固定した場合、労働能力喪失期間は、27年間となります。
ライプニッツ係数とは、労災事故などの損害賠償金に生じる中間利息を控除するための係数です。逸失利益の損害賠償請求では、将来にわたる損害賠償金を一度に受け取ることなります。その損害賠償金を運用すると利息が生じるので、この利息分を控除するために、ライプニッツ係数を使用します。27年に対応するライプニッツ係数は、18.3270です。
年収420万円の被災労働者のケースで逸失利益を計算すると、次のとおりとなります。
420万円×100%×18.3270=76,973,400円
この逸失利益の金額から、障害補償給付のうち、障害補償年金を控除します。障害補償給付のうち、障害特別年金と障害特別支給金は控除されません。
障害補償年金を1年分277万円受給した場合、会社に対して請求できる逸失利益は、76,973,400-277万=74,203,400円となります。
このように、逸失利益は、数千万円規模になるケースも珍しくありません。
将来介護費
後遺障害によって将来にわたり介護が必要になった場合には、将来介護費を請求できることがあります。
特に第2級の神経・精神障害や胸腹部臓器障害では「随時介護を要する」こと自体が等級認定の要素となっているため、将来介護費は重要な争点になり得ます。
介護の必要性、介護の内容、1日あたりの介護費、介護が必要となる期間などを検討して算定します。具体的には、1年間にかかる介護費用を計算し、平均余命までのライプニッツ係数をかけて、将来介護費を計算します。例えば、1年間の介護費用が120万円、平均余命が26年間で、ライプニッツ係数17.8768とした場合、120万×17.8768=21,452,160円となります。
労災保険の給付と会社からの損害賠償は二重取りできる?
労災保険から給付を受けたうえで会社に損害賠償請求する場合、「労災と損害賠償の両方をそのまま満額受け取れるのか」という問題があります。
結論としては、同じ損害について二重に補償を受けることはできないため、一定の調整が行われます。
労災保険給付が損害額から控除される場合がある
たとえば、労災保険の障害補償年金には、被災者の財産的損害を補填する性質があります。
そのため、会社に逸失利益などを請求する場合には、実際に受給した障害補償年金の合計金額を控除します。
慰謝料は労災保険から支給されない
一方、労災保険には、被災者の精神的苦痛に対する慰謝料という給付項目はなく、労災保険からは、慰謝料は支給されません。
そのため、慰謝料については、労災保険の給付から控除されることはありません。
特別支給金は取扱いが異なる
障害特別支給金や障害特別年金などの「特別支給金」については、通常の保険給付とは取扱いが異なります。
裁判例上、特別支給金については損害を填補する性質を有するものではないとして、控除の対象としない取扱いがされています。
このように、「労災から受け取った金額を全部会社への請求額から引けばよい」という単純な計算ではありません。
労災事故の損害賠償額を正確に算定するためには、各給付がどの損害項目に対応するのかを個別に検討する必要があります。

労災の後遺障害2級で適正な補償を受けるためのポイント
後遺障害第2級は、被災者本人だけでなく家族の今後の生活にも大きな影響を及ぼします。
そのため、次の点に注意して対応することが重要です。
症状固定前に安易に治療を終了しない
後遺障害等級は、原則として治ゆ(症状固定)した時点で残っている障害をもとに判断されます。
症状固定と判断された場合には、労災保険から、治療費に相当する療養補償給付、休業損害に相当する休業補償給付の支給が打ち切られてしまいます。
そのため、どの時点で症状固定になるのか、どのような後遺障害が残る見込みなのかについて、医師と十分に相談して、症状固定の時期を判断してください。
後遺障害を裏付ける医学的資料をそろえる
障害等級認定では、診断書、検査結果、画像所見などの医学的資料が重要です。
特に高次脳機能障害や神経・精神障害などでは、後遺障害による日常生活への影響を、労働基準監督署へ適切に伝えるために、文書を作成するのが効果的です。
労災事故状況に関する証拠を確保する
会社に損害賠償請求をする場合には、「なぜ労災事故が起きたのか」を立証する必要があります。
たとえば、
- 労災事故現場の写真・動画
- 防犯カメラ映像
- 機械や設備の写真
- 作業マニュアル
- 安全教育に関する資料
- 同僚などの目撃者
- 会社とのメールやチャット
- タイムカードや勤怠記録
などが重要な証拠になる場合があります。
時間が経つと証拠が失われることもあるため、できるだけ早く確保することが大切です。
労災保険だけで解決したと思わない
会社から「労災から補償されるから会社は支払わない」と言われることがあります。
しかし、労災保険から給付を受けたからといって、当然に会社の民事上の損害賠償責任がなくなるわけではありません。
会社側に安全配慮義務違反などがある場合には、別途損害賠償請求を検討する必要があります。
示談書にサインする前に内容を確認する
会社から早期に示談を提案されるケースもあります。
しかし、一度示談が成立すると、後から追加で損害賠償を請求することが難しくなる可能性があります。
特に第2級のような重大な後遺障害では、逸失利益や将来介護費だけでも高額になることがあります。
慌てて、示談書にサインをするのは避けるべきです。
示談金額が適切なのか判断できない場合には、示談書に署名・押印する前に弁護士へ相談することをおすすめします。

労災の後遺障害2級について弁護士に相談するメリット
後遺障害第2級が問題となるような重大な労災事故では、労災保険の手続だけでなく、会社への損害賠償請求まで含めて検討する必要があります。
後遺障害等級についてアドバイスを受けられる
後遺障害の等級によって労災保険から受け取れる金額は大きく変わります。
弁護士に相談することで、後遺障害の内容や必要な医学的資料などについて法的な観点からアドバイスを受けられます。
会社に法的責任があるか検討できる
労災事故が発生したからといって、すべてのケースで会社に損害賠償責任が生じるわけではありません。
労災事故現場の状況、会社の安全管理体制、作業方法、教育体制などを調査し、会社に安全配慮義務違反などがなかったかを検討する必要があります。
会社に請求できる損害額を正確に計算できる
重大な後遺障害が残ったケースでは、慰謝料・逸失利益・将来介護費など、多数の損害項目が問題になります。
さらに、労災保険からすでに受け取った給付との調整も必要です。
弁護士に依頼することで、これらを踏まえた損害額を検討できます。
会社や保険会社との交渉を任せられる
重い後遺障害を負った状態で、被災者本人や家族が会社・保険会社と交渉を続けることは大きな負担です。
弁護士に依頼すれば、損害額の計算から会社側との交渉、必要に応じた訴訟手続まで任せることができ、安心と納得を得ることができます。
労災の後遺障害2級に関するよくある質問
Q.後遺障害2級の年金はいつまでもらえますか?
障害補償年金は、原則として、その障害が存在する期間について支給される年金です。そのため、後遺障害が残存している限り、障害補償年金を受給し続けることができます。
ただし、後遺障害の程度が変化した場合などには等級変更などが問題となることがあります。
Q.後遺障害2級の障害補償年金を一括でもらえますか?
すべてを自由に一括受給できる制度ではありませんが、「障害補償年金前払一時金」を利用できる場合があります。
第2級の場合、最高で給付基礎日額の1,190日分まで前払いを受けることができます。
ただし、これは追加でもらえるお金ではなく、将来の年金の前払いです。
Q.労災の後遺障害2級なら介護費ももらえますか?
後遺障害第2級のうち、神経・精神の障害や胸腹部臓器の障害によって随時介護を要する状態など、一定の要件を満たす場合には、介護補償給付を受けられる可能性があります。
ただし、第2級であれば必ず対象になるわけではありません。
Q.労災を使うと会社に損害賠償を請求できなくなりますか?
いいえ。
労災保険を利用したことだけを理由として、会社への損害賠償請求ができなくなるわけではありません。
会社に安全配慮義務違反などが認められる場合には、別途、損害賠償請求ができる可能性があります。
ただし、労災保険給付と損害賠償の間で一定の調整が必要になる場合があります。
Q.会社から示談を提案されたら応じてもよいですか?
示談をする前に、提示された金額が適切なのか十分に検討することをおすすめします。
特に第2級のような重大な後遺障害では、逸失利益や将来介護費などが高額になる可能性があります。
一度示談すると追加請求が難しくなる場合もあるため、内容に疑問がある場合には、署名・押印する前に弁護士へ相談するとよいでしょう。
Q.会社が労災申請に協力してくれない場合はどうすればよいですか?
労災保険の給付を決定するのは会社ではなく、労働基準監督署です。
会社が労災であることを否定している場合や、事業主証明への協力が得られない場合でも、労働基準監督署へ相談した上で、労災申請をすることができます。
会社から「労災ではない」「申請できない」と言われたことだけで諦める必要はありません。
まとめ
労災事故によって後遺障害第2級に認定された場合、原則として、
・障害補償年金:給付基礎日額の277日分/年
・障害特別支給金:320万円
・障害特別年金:算定基礎日額の277日分/年
などを受けることができます。
また、後遺障害の内容によっては介護補償給付を受けられる場合もあります。
もっとも、後遺障害第2級のような重大な労災事故では、労災保険から給付を受けて終わりとは限りません。
労災事故について会社に安全配慮義務違反などが認められる場合には、会社に対して、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、逸失利益、将来介護費などの損害賠償を請求できる可能性があります。
特に後遺障害第2級の場合、今後の就労や日常生活、介護などに長期間にわたる影響が生じることが考えられるため、損害額が高額になるケースもあります。
その一方で、会社の責任の有無、後遺障害による逸失利益、将来介護費、労災保険給付との調整など、専門的な判断が必要となる論点も少なくありません。
会社から示談を提案されている方や、労災保険からの給付以外にどのような請求ができるのかわからない方は、示談を成立させる前に、労災問題に詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。
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この記事を書いた弁護士
徳田隆裕(とくだ たかひろ)
弁護士法人金沢合同法律事務所 弁護士
2010年弁護士登録。労働者側での労働事件を専門として、解雇、残業、労災といった労働問題で困っている労働者を笑顔にするために、日々弁護活動を行っています。「労働弁護士徳田タカヒロ」というYouTubeチャンネルで、労働問題についての情報発信をしています。
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