切断した電線が右目に当たり、後遺障害準用8級が認定された労災事故で、会社と交渉して、約1200万円の損害賠償金を得た事例

事故内容

クライアント(30代男性)は、電柱の移設準備作業をしていたときに、電線を切断する仕事をしていました。

クライアントが、電線を5メートルほど延ばし、電線をボトルクリッパーで切断したところ、電線が跳ね上がり、跳ね上がった電線が、クライアントの右目に当たりました。

電線工事の作業イメージ

この労災事故によって、クライアントは、右外傷性脈絡膜破裂、高眼圧の怪我を負い、長期間治療を続けましたが、右目の視力は0.01となり、複視や視野狭窄などの障害が残り、準用8級の後遺障害の認定を受けました。

依頼の経緯

労災事故によって、クライアントは右目を負傷しましたが、治療を継続した結果、現場の電気工事以外のオフィスワークであれば、職場復帰できるくらいに回復しました。

しかし、クライアントは、会社から、右目がみえないのであれば、仕事をやめてもらわなければならない等と退職勧奨を受けました。

さらに、クライアントは、会社から、労災事故前と同じ仕事ができないのであれば、基本給を減額する等と言われました。

このように、労災事故によって、多大な苦痛を味わってきたクライアントに対して、会社が、非情な対応をしてきたことから、クライアントは、会社に対して、不信感をつのらせました。

このまま、会社に労災の対応を任せることに不安を感じたクライアントは、当事務所へご相談にこられて、ご依頼されました。

弁護活動

クライアントからは、労災申請と、会社に対する損害賠償請求のご依頼を受けました。

ご依頼をいただいた時点では、クライアントの治療は続いていましたので、治療が終了した時点で、クライアントと共に、主治医と面談し、後遺障害についての意見を聞きました。

主治医の意見からすれば、クライアントの右目の怪我について、後遺障害が認定される可能性が高く、主治医に、適切な内容の後遺障害診断書を作成していただきました。

そして、労働基準監督署へ、労災保険の障害補償給付の申請をし、結果として、準用8級の後遺障害が認定され、労災保険から、合計7,156,305円の補償金が支給されました。

その後、会社に対して、安全配慮義務違反を理由とする、損害賠償請求をしました。

今回の事件における、安全配慮義務違反の内容は次のとおりです。

電線を切断した際の電線の跳ね上がりは、電線の切断箇所の両側で生じますから、本来、電線の切断作業は、電線を切断する者と、電線を切断する箇所の両側を保持する者の2名の従業員によって行うなどして、必ず、切断箇所の両側を保持するようにしなければなりません。

そのため、会社には、現場の作業指示をしていた班長を通じて、現場の従業員に対して、電線の切断者以外の別の従業員が電線を両手で保持するなどして、電線が跳ね上がることを防止するために、指示や注意をすべき安全配慮義務があったのです。

会社に対して、損害賠償請求をしたところ、会社にも、代理人がついて、会社には、安全配慮義務違反はなかったと主張して、争ってきました。

結果

会社の代理人は、安全配慮義務違反を争いつつも、交渉での解決を提案してきました。

この事案では、クライアントは、10年間、電気工事の仕事をしており、電線を切断すれば、電線が跳ね上がり、跳ね上がった電線によって、負傷する危険が生じることを理解しており、会社のマニュアルにも、電線を切断するときには、電線が跳ね上がる危険があるので、気をつけることが記載されていました。

そのため、クライアントにも、一定の落ち度が認定されて、過失相殺が認められ、クライアントの損害賠償請求が減額されることが予想される事案でした。

会社の代理人と交渉を重ねたところ、過失相殺の割合について、クライアントが一定の譲歩ができる水準で合意できたことから、裁判手続に移行することなく、交渉で解決できました。

結果として、クライアントは、会社から、労災保険からの給付以外に、12,417,645円の解決金を支払ってもらうことで、解決に至りました。

裁判をすれば、もう少し、高い金額の損害賠償が認められた可能性はありますが、会社に対して、損害賠償請求の通知を送ってから、約3ヶ月で解決でき、クライアントは、労災事故後のわずらわしさやストレスから、早期に解放されて、満足されました。

このように、弁護士が代理人として、会社に対して、損害賠償請求をすることで、労災保険からの補償とは別に、会社から、損害賠償が支払われることがあります。

今回の案件では、労災保険から、障害補償給付として、合計7,156,305円の補償金が支給されていましが、これに上乗せして、会社から、別途、12,417,645円の解決金を支払ってもらうことで解決しました。

労災事故にあわれて、適切な損害賠償を受けるためには、弁護士にご相談されることをおすすめします。

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