最大1300万円の受給可能性がある建設アスベスト給付金を弁護士が解説

1 アスベスト被害

 

 

 親が建築の仕事をしていて、アスベストを取り扱う作業をしていましたところ、中皮腫を発症して、死亡しました。

 

 主治医から、親の中皮腫の原因は、アスベストであると聞きました。

 

 親の中皮腫による死亡について、国からの補償はないのでしょうか。

 

 結論から先にいいますと、建設アスベスト給付金の請求をすることをおすすめします。

 

 今回の記事では、建設アスベスト給付金について、わかりやすく解説します。

 

 まず、アスベストの被害について、説明します。

 

 アスベストは、天然の鉱物繊維で、石綿とも呼ばれています。

 

 アスベストは、極めて、細い繊維で、熱、摩擦、酸やアルカリにも強く、丈夫で変化しにくいという特性を持っていることから、建材、摩擦材、シール断熱材といった様々な工業製品に使用されてきました。

 

 アスベストを使った建材製品は、1955年ころから使われ始め、鉄骨造建築物などの軽量耐火被覆材として、多く使用されました。

 

 また、アスベストは、安価で、耐火性、断熱性、防音性、絶縁性など様々な機能を有していることから、耐火、断熱、防音の目的で使用されてきました。

 

 しかし、アスベストは、肺がんや中皮腫を発症する発がん性が問題となり、現在では、新たなアスベスト製品の製造・使用が禁止されています。

 

 アスベストは、人の髪の毛の直径よりも非常に細く、肉眼では見ることができない極めて細い繊維からなっています。

 

 そのため、飛散すると空気中に浮遊しやすく、吸入されて人の肺胞に沈着しやすい特徴があります。

 

 アスベストの繊維は丈夫で変化しにくい性質のため、肺の組織内に長く滞留し、その体内に滞留したアスベストが原因となって、肺の線維化やがんの一種である肺がん、悪性中皮腫などの病気を引き起こすのです。

 

 このように、仕事で、アスベストの取り扱いがあり、アスベストによる健康被害にあわれた方の救済が必要になりました。

 

 そして、建設業務に従事していた元労働者等とその御遺族の方が、アスベストによる健康被害を被ったのは、国が規制権限を適切に行使しなかったからであるとして、国家賠償法に基づく損害賠償を請求した訴訟(建設アスベスト訴訟)について、最高裁判決において、国の責任が認められました。

 

 この最高裁判決を受けて、建設業務に従事していた労働者等に対する救済として、建設アスベスト給付金の制度が設立されました。

 

2 建設アスベスト給付金の支給対象者

 

 建設アスベスト給付金の支給対象となる方は、次の①~③の全てを満たす必要があります。

 

 ①特定石綿暴露建設業務に従事したこと

 

 特定石綿暴露建設業務とは、昭和47年10月1日から昭和50年9月30日までの期間に、アスベストの吹付けの作業に関する業務、または、昭和50年10月1日から平成16年9月30日までの期間に、屋内作業場で行われた作業に関する業務です。

 

 具体的には、大工、左官、鉄骨工、溶接工、ブロック工、軽天工、タイル工、内装工、塗装工、吹付工、はつり、解体工、配管設備工、ダクト工、空調設備工、電工、電気保安工、エレベーター設置工、自動ドア工、畳工、ガラス工、サッシ工、建具工、清掃・ハウスクリーニング、現場監督、機械工、防災設備工、築炉工等の業務がこれらに該当します。

 

 ここで、屋内作業場とは、屋根があり、側面の面積の半分以上が外壁などに囲まれ、外気が入りにくいことにより、アスベストの粉塵が滞留するおそれのある作業場です。

 

 外壁などの屋外で作業をしていた場合には、この屋内作業の要件を満たさず、建設アスベスト給付金を受給できない可能性があります。

 

 屋内作業をしていたかについては、当時の勤務先の会社等から情報を提供してもらえるかがポイントになります。

 

 ②特定石綿暴露建設業務に従事したことにより石綿関連疾病にかかったこと

 

 石綿関連疾病は、アスベストを吸入することにより発生する、次の疾病です。

 

 ⑴ 中皮腫

 

 中皮腫は、肺を取り囲む胸膜、肝臓や胃などの臓器を囲む腹膜などにできる悪性の腫瘍です。

 

 中皮腫のアスベスト関連性は、非常に高く、そのほとんどがアスベストに起因するものと考えられています。

 

 初めてのアスベストの暴露から、発症までの期間は、一般に40~50年ほどであり、非常に長いです。

 

 中皮腫の症状としては、息切れ、お腹や胸の痛み、咳、発熱、全身倦怠感、体重減少等があります。

 

 ⑵ 肺がん

 

 肺がんは、気管支あるいは肺胞を覆う上皮に発生する悪性の腫瘍です。

 

 初めてのアスベストの暴露から、発症までの期間は、一般に30~40年程度と長くなっています。

 

 肺がんの症状としては、咳、痰、血痰といったものがよくみられます。

 

 ⑶ 石綿肺

 

 石綿肺は、アスベストを大量に吸入することにより、肺が線維化する、じん肺という病気の1つです。

 

 肺の線維化が進行していき、酸素と炭酸ガスの交換を行う機能が損なわれるため、呼吸困難が生じます。

 

 初めてのアスベストの暴露から、発症までの期間は、15~20年が多いです。

 

 石綿肺の初期の症状としては、労作時の息切れ、咳、痰が多くみられます。

 

 アスベストの暴露が中止しても、肺の線維化は徐々に進行し、肺活量の低下も進み、日常生活に支障が生じます。

 

 ⑷ びまん性胸膜肥厚

 

 びまん性胸膜肥厚は、臓側胸膜の慢性線維性胸膜炎の状態であり、通常は壁側胸膜にも病変が及んで両者が癒着していることがほとんどです。

 

 初めてのアスベストの暴露から、発症までの期間は、30~40年が多いです。

 

 症状としては、呼吸困難、反復性の胸痛、反復性の呼吸器感染等がみられます。

 

 ⑸ 良性石綿胸水

 

 良性石綿胸水とは、アスベスト粉じんを吸入することによって、胸腔内に胸膜炎による胸水が生じることです。

 

 良性とは、悪性腫瘍ではないという意味であって、症状や予後が良好であることを意味しません。

 

 初めてのアスベストの暴露から、発症までの期間は、平均40年です。

 

 症状としては、労作時の息切れ、呼吸困難、胸痛、咳などがあります。

 

 ③労働者や一人親方等であったこと

 

 労働者、中小事業主、一人親方、家族従事者、遺族であったことが支給要件となっています。

 

 以上の3つの要件を満たしていた場合に、建設アスベスト給付金を受給することができます。

 

3 給付金

 

 

 建設アスベスト給付金の金額は、次のとおりです。

 

 ①石綿肺管理2で、じん肺法所定の合併症のない方 550万円

 

 ②石綿肺管理2で、じん肺法所定の合併症のある方 700万円

 

 ③石綿肺管理3で、じん肺法所定の合併症のない方 800万円

 

 ④石綿肺管理3で、じん肺法所定の合併症のある方 950万円

 

 ⑤中皮腫、肺がん、著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚、石綿肺管理4、良性石綿肺胸水である方 1150万円

 

 ⑥上記①、③により死亡した方 1200万円

 

 ⑦上記②、④、⑤により死亡した方 1300万円

 

 ここで、じん肺所定法の合併症とは、肺結核、結核性胸膜炎、続発性気管支炎、続発性気管支拡張症、続発性気胸のことです。

 

 そして、この建設アスベスト給付金には、請求期限が決まっています。

 

 石綿関連疾病にかかった旨の医師の診断があった日、または、石綿肺についてのじん肺管理区分の決定があった日から起算して20年が経過した場合には、請求できなくなります。

 

 また、被災者が死亡した日から起算して20年が経過した場合も、請求できなくなります。

 

 そのため、なるべく早く、建設アスベスト給付金の請求をするようにしてください。

 

 当事務所では、建設アスベスト給付金を受け取る権利がある方に、一人でも多く、給付金を受け取っていただき、みなさまの未来への不安解消と、前を向くきっかけづくりのお手伝いをさせていただいております。

 

 当事務所では、初回相談を無料で承っており、メールやLINEでのご相談の受付も行っております。

 

 私達の持てる知識と経験を活かして、みなさまの明日が少しでも明るいものになるように親身に寄り添い、真剣に対応させていただきます。

 

 建設アスベスト給付金の請求について、これからどうすればいいのかお悩みの場合には、ぜひ、当事務所へご相談ください。

 

 

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