「一人親方」の休業損害はどうなる?
一人親方の労働災害

Q.私はいわゆる「一人親方」ですが、労働災害に遭ってしまった場合はどうなりますか?
まず、労災保険は、基本的に「労働者」を対象としているので、原則として,個人事業主(一人親方)や企業の役員は,労災保険の対象にはなりません。
ただ、一人親方でも建設現場などで働いている場合には、労働災害にあう危険性は一般の労働者と変わりません。
そのため、一人親方その他の自営業者用の「労災保険特別加入制度」があり、一人親方でも労災保険に特別加入することが可能です(詳細は各種組合にお問い合わせください)。
労災保険に特別加入していなかったとしても、一人親方の契約内容や労働実態から、労災保険法の「労働者」に該当すれば、通常の労災保険の補償を受けることができます。
労災保険法の「労働者」に該当するかについては、指揮監督下における労働という労務提供の形態と、報酬が提供された労務に対するものであるという賃金の支払の2つの判断基準にあてはめて検討します。
具体的には、
①仕事の依頼、業務指示等に対する諾否の自由の有無
②業務の内容及び遂行方法に対する指揮命令の有無
③勤務場所・時間についての指定・管理の有無
④労務提供の代替可能性の有無
⑤報酬の労務対償性
⑥事業者性の有無(機械・器具の所有・負担関係等)
⑦公租公課の負担(源泉徴収や社会保険料の控除の有無)
⑧専属性の程度
という判断要素を総合考慮して、労災保険法の「労働者」に該当するかが判断されます。
そのため、一人親方が労災保険に特別加入していなかったとしても、労災保険法の「労働者」に該当して、労災保険が適用されないかを検討することをおすすめします。
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この記事を書いた弁護士
徳田隆裕(とくだ たかひろ)
弁護士法人金沢合同法律事務所 弁護士
2010年弁護士登録。労働者側での労働事件を専門として、解雇、残業、労災といった労働問題で困っている労働者を笑顔にするために、日々弁護活動を行っています。「労働弁護士徳田タカヒロ」というYouTubeチャンネルで、労働問題についての情報発信をしています。
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