休憩時間中の事故は労災と認定されるのでしょうか?

Q 休憩時間中に,お昼ごはんを食べに行く途中で道路で転倒してしまった場合,労災認定されるのでしょうか。

 

A 労災と認定されるのは困難です。

 

 

 労災と認定されるためには,労働者が労働契約に基づいて会社の支配下にあること(これを業務遂行性といいます),労災事故と業務との間に因果関係があること(これを業務起因性といいます)が必要になります。

 

 

 休憩時間とはいえ,会社の施設内で休憩している限り,会社の支配下を離れていないとして,業務遂行性が認められることになります。

 

 

 次に,休憩時間は,労働者が自由に利用できる時間ですので,一般的な休憩時間中の行為は私的行為とみなされて,原則として,業務起因性は認められないことになります。

 

 

 もっとも,①会社の施設や管理状況に労災事故発生の原因がある場合や,②労働者の行為が仕事に伴う必要行為または合理的行為であると認められる場合には,業務起因性が認められることになります。

 

 

 ①の具体例として,社員食堂の床が水浸しで滑りやすくなっていたため,転倒した場合には,会社の施設の管理に落ち度があったことが事故発生の原因であるとして,業務起因性が認められることになります。

 

 

 ②の具体例として,用便や飲水などの生理的必要行為,仕事と関連がある各種の必要行為や合理的行為であれば,それ自体が私的行為であっても,業務中であれば通常業務に付随する行為として,業務起因性が認められることになります。

 

 

 ご質問のケースの場合,会社の外の道路で発生した事故なので,会社の支配下にないとして,業務遂行性が否定されることになります。

 

 

 また,会社の外にお昼ごはんを食べに行くので,①会社の施設や管理状況は関係ないですし,②食事は生理的に必要な行為ではありますが,昼休みが設けられているので,就業時間中に必ず行われるものではありませんので,業務起因性が認められることも困難です。

 

 

 よって,ご質問のケースでは,業務遂行性と業務起因性が否定されると考えられ,労災と認定されるのは困難です。