労災事故で死亡したら、損害賠償請求はいくらになる?

Q.労災事故によって被災労働者が死亡した場合、遺族は、会社に対して
 いくらの損害賠償請求をすることができるのでしょうか。

例として、年収が500万円の40歳の夫が労災事故で死亡し、遺族が妻と子供2人のケースで、労災認定後に会社に対して、損害賠償請求をする場合に、損害額がいくらになるのかを計算します。

 

会社に対する損害賠償請求では、①逸失利益②慰謝料が重要になります。

 

逸失利益の算出

①逸失利益とは、労災事故がなければ得られたであろう被災労働者の将来の収入等の利益をいいます。

 

逸失利益の計算にあたっては、基礎収入から中間利息と生活費を控除します。

 

中間利息の控除とは、逸失利益は、将来受け取るべき収入を、今受け取ることになりますので、将来にわたって発生するはずの利息分を差し引くことをいいます。

 

すなわち、本来は将来受け取るべきお金を前払いしてもらうことになり、前払いしてもらったお金を本来の支払時期までに保持していれば、運用により利益を得ることができるので、公平のために、将来にわたって発生するはずの利息分を差し引くことにしたのです。

 

この中間利息を控除する際に利用する係数を、ライプニッツ係数といいます。

 

生活費控除とは、被災労働者が死亡した場合、得られたはずの収入がなくなる一方で、生存していれば生じたはずの生活費が発生しなくなりますので、逸失利益の計算の際に、得られたはずの収入から、消費されたはずの生活費を差し引くことをいい、その差し引く割合を生活費控除率といいます。

 

そのため、死亡による逸失利益の算定方式は次のようになります。

 

基礎収入額×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

 

このケースでは、基礎収入額は500万、生活費控除率30%、40歳から就労可能年数67歳までの27年間のライプニッツ係数は18.3270となりますので、逸失利益は次のとおりとなります。

 

500万円×(1-30%)×18.3270=6414万4500円となります。

 

 

慰謝料の算出

次に、慰謝料については、死亡に対する労働者自身の精神的損害と、遺族固有の精神的損害の両方を請求できます。

 

死亡した労働者が一家の支柱の場合、慰謝料の合計額は一般的には2800万円程度になります。

 

最後に、労災保険から遺族補償年金312万2000円、遺族特別年金44万6000円、遺族特別支給金300万円がすでに支給された後に、会社に損害賠償請求をする場合、これらの労災保険からの給付が控除されるのかについて検討します。

 

遺族補償年金、遺族特別年金、遺族特別支給金のうち、逸失利益から控除されるのは、遺族補償年金だけであり,遺族特別年金と遺族特別支給金は逸失利益から控除されません。

 

また、遺族補償年金が控除されるのは、すでに支給済みもしくは支給決定がされているものに限られますので、将来支給される遺族補償年金は、損害賠償額から控除されません。

 

そのため、逸失利益6414万4500円から、遺族補償年金312万2000円が控除され、6102万2500円が請求できます。

 

そして、慰謝料からは何も控除されませんので、遺族は、会社に対して、6102万2500円(逸失利益)と2800万円(慰謝料)の合計8902万2500円の損害賠償請求ができることになります。

 

死亡事故の各種手続きや損害賠償を弁護士に依頼するべき理由

死亡事故をはじめ、労働災害の補償やその手続きは複雑で、一般の方が理解しづらいとお感じになる部分も少なくありません。

 

また、ご自身で会社と交渉することは大きなストレスとなりますし、どんな責任をどの程度追及できるどうかについても、判断は容易ではありません。

 

弁護士にご依頼いただくことで、会社側に責任があるのかどうかをより正確に判断し、事業主と対等に交渉することが可能です。

 

また、「弁護士に依頼するかについては未定」という方も、お早めにご相談いただくことで、個別具体的な事情を鑑みつつアドバイスをさせていただき、ご不安の解消や、今後の方針を決めるためにお役に立つことができるかと思います。

 

 

当事務所の強み

一口に弁護士と言っても、注力している領域は様々であり、それによって研鑽・経験を積んでいる内容も異なります。

 

当事務所は、死亡事故をはじめとして、70年以上にわたって労働者側の労働災害事件や労働問題に取り組んでおり、労災事故に巻き込まれた労働者の権利擁護の実現を目指しています。

 

 

また、当事務所の弁護士は、日本労働弁護団過労死弁護団連絡会議に所属しており、労災事件や労働事件に関する専門性を磨いております。

 

更に、当事務所は、ベテランから若手まで、個性豊かな男女7人の弁護士が所属している、石川県内では最大規模の法律事務所です。

 

複数の弁護士がチームを組み、よりよい解決を導き出せるように協働するとともに、労災申請から損害賠償請求まで、ワンストップでサポートをご提供できる連携体制づくりに努めております。

 

 

当事務所にご依頼いただいた場合のサービス

まだ労災申請をしていない段階でご依頼いただいた場合には、当事務所の弁護士がクライアントの代理人として、必要な調査や証拠を集めた上で、労災申請手続を行います。

 

すでに労災の結果がでていても、その結果にご納得がいかない場合には、労働基準監督署の決定に対して、異議申立手続である審査請求の手続を行います。

 

労災の認定がされて、労災保険から一定の補償が受けられていても、慰謝料などは、労災保険からは支給されませんので、クライアントが被った損害のうち、労災保険では補償されない部分について、会社に対して、損害賠償請求をします。

 

会社に対する損害賠償請求では、まずは、会社と交渉して、示談ができるかを検討します。

 

会社と交渉しても、示談ができない場合には、会社を相手に裁判を起こして、クライアントの損害が賠償されるように、裁判手続をすすめていきます。

 

当事務所の弁護士は、クライアントの権利を擁護するために、全力を尽くします。

 

 

弁護士費用

当事務所では、労働災害に遭われた方の経済的なご不安・ご負担を少しでも軽減するために、初回のご相談については、料金を頂いておりません。

 

(2回目以降のご相談については、30分につき税別5,000円を頂戴しております。)

 

1.労災申請

1-1.事故型労災

着手金

無料

 

報酬金

経済的利益の20%(ただし,最低報酬金は10万円とします)

⇒経済的利益は,労災保険から支給される給付金をもとに計算します。

 

1-2.過労死・過労自殺

着手金

30~50万円

 

報酬金

経済的利益の20%(ただし,最低報酬金は10万円とします)

⇒経済的利益は,労災保険から支給される給付金をもとに計算します。

 

 

2.損害賠償請求

2-1.事故型労災

着手金

無料

 

報酬金

経済的利益が~300万円 経済的利益の20%
経済的利益が300万円~3000万円 経済的利益の15%+18万円
経済的利益が3000万円以上 経済的利益の9%+138万円

⇒経済的利益は会社から回収した金額をもとに計算します。

 

2-2.過労死・過労自殺

着手金

30~50万円

 

報酬金

経済的利益が~300万円 経済的利益の20%
経済的利益が300万円~3000万円 経済的利益の15%+18万円
経済的利益が3000万円以上 経済的利益の9%+138万円

⇒経済的利益は会社から回収した金額をもとに計算します。

※過労死・過労自殺事件で労災申請から損害賠償請求に移行する場合には,着手金の金額を調整させていただきます。

 

なお、その他の弁護士費用については、こちら(リンク)のページにて詳しくご説明させていただいておりますので、ご覧ください。