長時間労働による過労死が労災と認定され、会社との間で損害賠償請求の示談が成立した事例
事故内容
会社勤務をしていた20代男性の労働者(以下、「被災労働者」といいます)が、出張中の宿泊先で、虚血性心不全を発症して、突然、お亡くなりになりました。
被災労働者は、生前、長時間労働をしており、20代で健康面に特段異常がなかったことから、ご遺族は、被災労働者は、過労死したのではないかと疑いました。
依頼の経緯
ご遺族は、被災労働者の過労死を疑い、会社との間で、資料の開示のやりとりをしましたが、会社側は、資料の開示に応じてくれませんでした。
会社側の対応に、不信を感じたご遺族は、当事務所に、ご相談にこられました。
過労死の事件では、過労死した労働者が、脳や心臓の病気を発症する前6ヶ月間に、1ヶ月あたり、どれだけの時間外労働をしていたのかを証明することが、極めて重要になります。
ご遺族のご相談をお聞きし、会社が労働時間を証明するための証拠を隠滅させるリスクがあったことから、証拠保全の申立をすることにしました。
弁護活動
証拠保全とは、あらかじめ証拠調べをしておかなければ、証拠を使用することが困難となる場合に、事前に証拠調べを実施する手続です。
すなわち、裁判官と一緒に会社へ行き、会社にある証拠を入手するための手続です。
今回の事件では、被災労働者は、会社から貸与されていたパソコンを使用して、仕事をしていましたので、そのパソコンのログインとログオフのデータを確保できれば、労働時間を証明することができます。
また、被災労働者が使用していたパソコンのメールの送信時刻も、労働時間を証明するための、重要な証拠となります。
他方、パソコンの内部にあるデジタルデータは、時間の経過とともに、消えていくものもあれば、パソコンのOSをアップデートすることで、消えることもありますので、早急に入手する必要がありました。
そこで、被災労働者が使用していたパソコンのデータを確保するために、証拠保全の申立をしました。
結果
裁判所から、証拠保全を実施することが認められ、裁判官とともに、会社へ行き、無事に、被災労働者のパソコンのデータを確保することができました。
証拠保全で得られたパソコンのデータ等をもとに、被災労働者の時間外労働時間を分析したところ、被災労働者が虚血性心不全を発症する前1ヶ月間の時間外労働時間の合計は、144時間でした。
過労死の労災認定基準では、発症前1ヶ月間に概ね月100時間を超える時間外労働に従事していれば、労災と認定されます。
被災労働者は、この過労死ラインを大幅に超えて、時間外労働をしていたのです。
そこで、ご遺族を代理して、遺族補償給付の労災申請をしました。
労災申請の結果、無事に労災と認定され、労災保険から、ご遺族に対して、年金が支給されることとなり、また、一時金として300万円が支給されました。
さらに、被災労働者には、小さいお子様がいらっしゃったので、労災就学等援護費として、毎月一定額の支給が得られるようになりました。
その後、会社との間で、労働者の業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して、労働者の心身の健康を損なうことがないように配慮すべき、安全配慮義務違反があったとして、損害賠償請求の交渉を行いました。
会社は、被災労働者に対して、適切な労務管理をしていなかったという安全配慮義務違反を認めたため、損害賠償の金額について、会社と交渉を行いました。
会社との損害賠償請求の交渉がうまくまとまり、会社には、労災保険からの補償に上乗せして、一定金額の損害賠償金を支払ってもらうことで示談が成立しました。
この事件では、ご遺族が裁判にしたくない事情がありましたので、無事に、示談で解決できて、ご遺族は、解決に満足していただきました。
この事件のように、過労死事件では、労働時間の証明が重要になりますので、早急に弁護士にご相談することをおすすめします。
弁護士に依頼することで、過労死が労災と認定されたり、会社に対して、損害賠償請求できる場合があります。
当事務所へご相談の場合は、電話でも、メールでも、LINEでも可能です。
労災事故の法律相談の相談料は無料です。
メールでのお問い合わせはこちらのページから、お願い致します。
弁護士による労働災害の相談実施中!
弁護士法人金沢合同法律事務所では、初回相談無料となっております。
まずは弁護士にご相談いただき、ご自身の状況や今後の動きについて一緒に考えていきましょう。
労働災害に強い弁護士が、あなたの抱えている不安を解消し、明るい未来を切り拓きます。