出張中に労災事故にまきこまれたら、労災保険を利用できる?

Q 出張先から自宅へ戻る途中で事故にまきこまれたのですが、労災保険を利用できるのでしょうか。

 

 

A 労災保険を利用できます。

 

 

 

 労災保険を利用するためには、労働基準監督署に労災事故が業務災害であると認定してもらう必要があります。

 

 

 業務災害と認定してもらうためには、業務遂行性が認められることを前提に、業務起因性が認められることが必要となります。

 

 

 業務遂行性とは、労働者が労働契約に基づき会社の支配下にある状態のことをいいます。

 

 

 労働者が会社から指示された仕事をしている最中はもちろんですが、休憩時間など、会社が指揮監督を行う余地がある限りで会社の支配下にある場合にも、業務遂行性が認められます。

 

 

 業務起因性とは、業務に内在する危険が現実化したものによると認められることをいい、労災事故による負傷と業務との間に相当因果関係があることをいいます。

 

 

 会社の支配・管理下において、仕事をしている最中に労災事故が発生したのであれば、一般に業務起因性が認められます。

 

 

 出張中の事故については、一般に出張業務の全行程に業務遂行性が認められ、特別な私的行為以外には業務起因性が認められます。

 

 

 すなわち、出張中の事故については、その用務の成否や遂行方法について、会社がその期間中の全責任を負っていますので、特段の事情がない限り、出張先へ向かう行為から、自宅へ戻る行為まで、出張過程の全般について、会社の支配下にあるといえます。

 

 

 出張中の労働者の個々の行為については、友人宅に泊まりに行く、ドライブに行くといった積極的な私的行為などを除き、それ以外は、一般に出張に際して当然または通常伴う行為とみて、業務遂行性と業務起因性が認められます。

 

 

 そのため、出張期間中の電車、飛行機、自動車などによる移動中に事故にまきこまれた場合、業務遂行性と業務起因性が認められますので、労災保険を利用できることになります。