社内の懇親会に参加した後、社内の階段で転倒して負傷した場合、労災になる?

Q:会社の仕事が終わった後に、社内で開催された懇親会に参加し、飲食をして、帰ろうと思い、社内の階段をおりていたら、階段でつまずいてしまい、転倒して、ケガを負ったのですが、労災になるのでしょうか。

 

 

A:懇親会の幹事を担当していたのではなく、任意で懇親会の参加していたのであれば、労災にはなりません。

 

 

 労災と認定されるためには、業務遂行性が認められる必要があります。

 

 

 業務遂行性とは、労働者が労働契約に基づき事業主の支配下にある状態をいいます。

 

 

 そのため、懇親会への参加について、業務遂行性が認められなければ、労災と認定されないわけです。

 

 

 一般的には、参加が任意の社内の懇親会については、労働者の本来の業務とは異なるため、業務とはいえず、労災と認定されないことが多いです。

 

 

 もっとも、懇親会を行うことが事業運営上必要と客観的に認められ、かつ、労働者に対して、懇親会への参加を強制しているような場合には、業務遂行性が認められます。

 

 

 具体的には、労働者が参加した懇親会等の主催者、目的、内容、事業主の指示の有無、費用の負担等の事情を考慮して、総合的に判断することになります。

 

 

 例えば、懇親会の幹事を担当することを会社から命じられている労働者が、懇親会に参加して必要な役割を果たす場合には、業務遂行性が認められます。

 

 

 質問のケースの場合、懇親会への参加が強制されておらず、労働者の任意の判断で、参加または不参加を決められる場合、懇親会への参加は、業務とはいえません。

 

 

 他方、会社からしかるべき指示、命令のもと、懇親会の幹事をしていた場合には、自己の職務の一環として、懇親会に参加しているといえるので、幹事として懇親会に参加することについて、業務遂行性が認められ、労災と認定される可能性があります。