会社の飲み会で怪我をした場合、労災認定されるのか?【弁護士が解説】
社内の懇親会(飲み会)後に社内の階段で転倒して負傷したとき、それが労災(業務災害/通勤災害)として認められるかは、結論として「懇親会が会社の支配下にある行事だったか」「転倒が業務に内在する危険の現実化といえるか」「帰宅途中なら通勤経路の逸脱・中断がないか」など、具体的事情で決まります。
とくに飲酒が絡む事故は、懇親会自体の業務性が認められても、過度な飲酒や私的行為が原因だと業務起因性(または通勤災害性)が否定されることがあります。
本記事では、労災判断の枠組み、労災が認められる/認められない典型例、帰宅途中の扱い、会社と本人の法的責任、補償内容、事故直後の対応、申請手続等について、解説します。

会社の飲み会・懇親会や帰宅途中のケガは労災になる?
飲み会・懇親会中やその後の移動中のケガが労災になるかについては、業務災害か通勤災害か、どちらの枠組みに当たるかを含めて個別事情をもとに判断されます。
社内の懇親会後に社内階段で転倒した場合は、まず業務災害としての可能性が問題になります。ポイントは、懇親会が実質的に会社行事といえるか、そして転倒がその行事に通常伴う危険の範囲にあるかです。社内の設備で起きた事故でも、行事が私的な集まりなら労災に該当しません。
帰宅途中の事故なら通勤災害としての可能性を検討します。ただし、飲み会への寄り道や二次会は、通勤経路の逸脱・中断と評価されやすく、通勤災害が否定される原因になります。逆に、会社行事の終了後に合理的な経路で速やかに帰宅していれば、通勤災害と認められる余地がでてきます。
この記事では、業務遂行性と業務起因性という基本枠組みを押さえたうえで、認定されやすい事情と否定されやすい事情を具体に解説します。
労災における業務遂行性
業務災害として労災が認められるには、災害発生時に労働者が「労働契約に基づき事業主の支配下」にあったといえるか(業務遂行性)が重要な出発点になります。
業務遂行性とは、労災事故が起きたときに会社の指揮命令や管理の影響下にある状態をいいます。典型例としては、就業時間中の業務ですが、懇親会のように一見すると仕事外に見える場面でも、実態として会社行事なら業務の一部と評価されることがあります。
実務では、形式よりも、実態が重視されます。例えば、任意参加とされていても断りにくい雰囲気があったか、上司が参加を強く求めたか、会社が費用を負担したか、会社が会場や進行を決めたか、勤務時間との連続性があるか、といった事実があれば、「会社の支配下」と言いやすくなります。
社内階段での転倒は、場所だけ見ると会社管理下ですが、それだけで業務遂行性が決まるわけではありません。懇親会が私的な集まりなら、社内で起きたとしても会社の支配下の行事中の事故とは言いにくく、結果として労災と認定されないことがあります。
会社の飲み会・懇親会中のケガが労災となるケース
形式上は任意参加でも、実態として参加を求められていた、会社が主催し費用負担や運営関与が強いなどの事情があると、業務災害として認められる余地があります。
労災として認められやすいのは、懇親会が会社の事業活動や組織運営と結びついており、参加が事実上の業務として扱われているケースです。具体的には、会社施設内で行われた、会社が費用を全額または大部分負担した、全員参加に近い形で出欠管理があった、就業時間内や終業直後に連続して実施された、といった場合です。
また、事故の原因が行事運営の範囲内にあることも重要です。社内階段での転倒であれば、会場からの移動経路として通常利用する階段で、特段の私的行為が介在していないなら、行事参加に付随する行動として説明しやすくなります。
飲酒があると自動的に不利になるわけではありません。問題は、会社行事として通常想定される範囲の飲酒か、目的から明らかに逸脱した過度の飲酒や危険行動かです。労災認定を目指すなら、行事の業務性と、事故が起きた流れの自然さを具体的に主張、立証することが重要になります。
社内懇親会や公式行事でのケガが労災と判断される場合
社内開催、会社費用負担、就業時間との連続性、全員参加に近い実態があると、業務遂行性は肯定されやすくなります。見た目が懇親会でも、会社が行事を設計し、従業員が会社の管理のもとで行動していると評価できるためです。
会社内で行われ、会社が費用を全額負担し、所定労働日・労働時間帯に重なるような行事では、純粋な私的親睦ではなく会社の支配下にあると判断されることがあります。ここで重要なのは、参加の自由が建前にとどまり、欠席しにくい構造があったかという実態面です。
もっとも、業務遂行性が認められても、それだけで必ず労災になるわけではありません。次に問題となる業務起因性の場面で、事故原因が行事の範囲を超えた行動にあると評価されると、労災と認定されません。
取引先との接待やゴルフコンペでのケガが労災と判断される場合
取引先対応の接待やゴルフコンペは、遊びに見えても事業運営に密接に関連していれば業務と評価され得ます。ポイントは、会社の利益のために必要な対外活動として位置付けられていたか、参加が業務上の要請として行われたかです。
具体的には、命令や明示の指示があるかだけでなく、参加せざるを得ない状況があったか、会場や時間の指定があったか、費用を会社が負担したか、誰と何の目的で行ったかが重視されます。形式が任意でも、取引維持のため実質的に拒みにくい場合は、業務遂行性が認められる方向に働きます。
事故との関係では、接待の進行や移動の中で通常想定される範囲の行動かが問われます。例えば、指示された会場への移動中の事故や、接待の一連の流れの中での負傷は、業務に付随する危険の現実化として説明しやすくなります。
急性アルコール中毒や転倒事故が労災と認められるか
飲酒が絡む災害でも、業務上必要な飲酒を強いられた、会社の管理下で発生した、行事の目的や態様から大きく逸脱していない、という事情が揃うと業務起因性が認められる余地があります。単に飲酒したかどうかではなく、業務との結びつきと危険の範囲が問われます。
立証のポイントは、飲酒が事実上避けられなかった状況や、周囲の関与を具体化することです。乾杯を断りづらい業務目的の宴席、上司や取引先からの強い勧酒、会社が終了時刻や帰宅手段を管理していたのに放置された、といった事情は評価に影響します。
転倒事故では、転倒場所と当時の動線が重要です。社内階段など行事会場からの通常の移動経路で、同行者がいて状況が説明できる、終了直後で時間の連続性がある、といった点を押さえると、行事に付随する事故として評価される可能性があります。

会社の飲み会・懇親会中のケガが労災とならないケース
同じ飲み会でも、私的な集まりと評価されたり、本人の著しい飲酒や危険行為が原因だと、業務遂行性・業務起因性が否定されやすくなります。
労災が否定されやすいのは、そもそも会社行事ではなく私的な飲み会と判断される場合です。会社が関与していない、参加が完全に自由、費用は会費制、業務との連続性がないといった事情が揃うと、会社の支配下という評価が難しくなります。
また、行事の業務性が一部認められる場面でも、事故原因が本人の著しい自己責任に寄っていると業務起因性が否定され得ます。飲酒量が異常で、行事の目的から明らかに逸脱した態様だと、業務に内在する危険の現実化ではなく、私的危険の発現と見なされやすいからです。
さらに、危険な遊びや喧嘩など、業務と無関係な行為が原因なら、因果関係が認められません。
完全な私的な飲み会と評価されるケース
有志企画で回覧や口頭で参加者を募ったにすぎず、会費制で、勤務終了後に任意で集まり、会社が会場手配や進行に関与していない場合は、私的な集まりと評価されやすいです。この場合、労災事故が起きても会社の支配下とは言いにくく、業務遂行性の段階で否定されることが多くなります。
判断のポイントは、会社が参加を業務として位置付けていたかだけでなく、労働者がその場で会社に拘束されていたかです。例えば欠席の不利益がなく、出欠管理もなく、途中退出も自由であれば、業務遂行性を基礎づける事情が弱くなります。
社内で行われた飲み会でも、私的会合であれば結論は同じ方向になり得ます。場所が社内という一点だけで労災になるわけではないため、主催者、費用、参加要請、運営の実態を具体的に確認する必要があります。
飲酒の程度が異常で自己責任と判断されるケース
会社行事としての業務遂行性が認められたとしても、過度の飲酒が原因で災害が発生した場合、業務起因性が否定されることがあります。行事の目的や通常想定される範囲から明らかに外れた飲酒は、業務に内在する危険ではなく、本人の私的危険だと評価されやすいからです。
典型は急性アルコール中毒です。飲酒自体が行事に伴うとしても、量やペースが突出しており、周囲から制止されていたのに、独自に飲み続けたような事情があると、業務との相当因果関係が否定されやすくなります。
社内階段での転倒でも、重度の酩酊が転倒の主因と認定されると、業務起因性が否定されやすくなります。飲酒量の客観的資料や、周囲の同席状況、終了時刻から事故までの時間の短さなど、酩酊の影響を過大評価されないといえるかがポイントになります。
危険な遊びや喧嘩が原因となったケース
飲み会の場での危険な遊び、ふざけ合いのエスカレート、喧嘩や暴力行為による負傷は、業務とは無関係な私的行為と評価されやすいです。業務に内在する危険の現実化とは言いにくく、業務起因性が否定されやすくなります。
ここでのポイントは、行為の内容が行事の目的と両立する範囲かどうかです。親睦という目的があっても、危険行為まで会社が予定していたとは通常いえず、個人的な逸脱行為として判断されるリスクがあります。
また、飲酒が引き金になっていても、原因行為が暴力であれば因果関係の評価はさらに厳しくなる傾向があります。労災を検討する際は、事故原因をあいまいにせず、何が直接原因かを冷静に整理することが重要です。

飲み会や懇親会の帰宅途中の事故は通勤災害になるか
帰宅途中の事故は「通勤災害」の枠組みで判断されますが、飲み会への立ち寄りや二次会参加があると、経路の逸脱・中断として否定されることがありえます。
通勤災害は、住居と就業場所の往復など、就業に関して合理的な経路・方法で移動する中で起きた事故が対象となります。飲み会後の事故は、帰宅行為が通勤といえるか、飲み会が通勤の前提となる就業との関連を保っているかが焦点になります。
懇親会が会社行事として評価されるほど、終了後の帰宅も就業に関連する移動として説明しやすくなります。一方、私的な二次会や長時間の滞留があると、通勤経路の逸脱・中断として通勤性が失われやすくなります。
実務で多いのは、どこからが逸脱・中断か、いつ通勤性が回復するかの争いです。時間の空白、寄り道の目的、移動のルート、酩酊の程度を時系列で整理し、合理的な帰宅行為だったと説明できるかが結果を左右します。
厚生労働省の通勤災害の基本的な考え方
通勤とは、就業に関して、住居と就業場所の往復などを合理的な経路・方法で行うことです。合理的とは、通常人が選ぶ経路や手段であることを意味し、必ず最短である必要はありませんが、私的目的で大きく外れると問題になります。
原則として、経路の逸脱・中断があると、その間およびその後の移動は通勤と扱われません。つまり、帰宅途中に私的行為を挟むと、通勤災害と認められないリスクがあります。
ただし例外として、日常生活上必要な行為をやむを得ない事由により最小限度行う場合には、逸脱・中断の部分を除いて通勤として扱われ得ます。
飲み会に立ち寄った場合の通勤経路の中断と逸脱の判断
帰宅途中に飲食店へ立ち寄る行為は、一般に逸脱・中断と評価されやすいです。特に飲み屋で腰を落ち着けて飲酒するような場合は、通勤ではなく私的行為と見なされやすくなります。
一方で、経路上で短時間の休憩として水分補給をする程度であれば、逸脱・中断として扱わないことがあります。ポイントは滞在時間、行為の目的、店の性質、そしてその後すぐに合理的な経路で帰宅に戻っているかです。
通勤性が回復するかも重要です。逸脱・中断があったとしても、その行為を終えて合理的な経路に戻り、帰宅を再開したと説明できれば、以降が通勤として評価される余地があります。
会社主催の懇親会からの帰宅が通勤災害と認められるケース
会社主催性が強い懇親会では、終了から帰宅までの連続性が保たれているほど通勤災害として認められやすくなります。つまり、懇親会が就業に準ずる位置付けで、終了後にそのまま帰宅行為に移ったと説明できることが大切です。
判断要素としては、会場が会社施設または業務に近接した場所であること、終了時刻が明確であること、二次会などの私的行為が介在しないこと、帰宅開始が不自然に遅れていないことなどが挙げられます。
社内階段の転倒のように、帰宅のために建物を出る途中の事故であれば、懇親会終了後の帰宅行為と位置付けやすい面があります。ただし、階段で何をしていたのか、移動の目的が帰宅だったのかを具体的に説明できるよう、状況の記録が重要になります。
私的な二次会・三次会への参加で通勤災害が否定されるケース
二次会・三次会は私的行為と評価されやすく、帰宅途中の事故でも通勤災害が否定される原因になります。一次会が会社行事であっても、そこから先は会社の支配や就業との関連が薄れるためです。
否定に傾く典型事情は、二次会が長時間に及ぶ、会場が帰宅経路から大きく外れている、帰宅開始が大幅に遅れている、相当な酩酊で通常の移動能力が低下している、といった点です。これらは通勤の合理性を損なう事情として評価されます。
また、事故原因に酩酊が強く関与していると、通勤行為としての相当性も疑われやすくなります。

飲酒に関連する法的責任と会社・本人への影響
飲酒が絡む事故では、労災の可否とは別に、会社の安全配慮義務や使用者責任、本人の過失相殺など民事上の責任問題が生じることがあります。
労災は保険給付の制度であり、会社の落ち度がなくても認定されることがあります。一方で、会社の管理不十分や危険放置があると、安全配慮義務違反として損害賠償の問題が別途生じることがあります。
飲酒が絡むと、会社の責任が問われる場面と、本人の落ち度が強調される場面の両方が出てきます。例えば飲酒強要や介抱体制の欠如は会社側のリスクになり、無謀な行動選択や過度な飲酒は本人側の不利な事実になります。
急性アルコール中毒が発生した場合の会社の安全配慮義務
会社が主催・関与する飲み会で急性アルコール中毒が発生した場合、飲酒強要の有無だけでなく、体調不良者の把握や介抱体制、帰宅手段の確保などの管理が問われます。単に飲んだ本人の責任で片付けられない状況があると、安全配慮義務違反が問題になり得ます。
具体的には、無理な一気飲みの黙認、明らかな酩酊者を放置して帰宅させた、救急要請を遅らせた、社内で倒れているのに適切に対応しなかった、などは会社の責任が認められる可能性があります。会社行事であるほど、会社の管理義務が重く見られやすくなります。
一方で、本人が制止を振り切って単独で過量飲酒したような事情が強いと、会社責任は限定される方向になります。
本人の飲酒行為と過失相殺の可能性
本人の飲酒量や行動選択は、損害賠償の場面で過失相殺として反映されることがあります。つまり会社に一定の責任があっても、本人の落ち度が大きいと賠償額が減る可能性があります。
また、労災の認定でも、過度の飲酒や危険行為は業務起因性や通勤性を弱める要素になります。労災は過失があっても直ちに排除される制度ではありませんが、事故原因が業務ではなく私的危険に寄っていると判断されると、労災と認定されにくくなります。
飲んだ量、時間、同席者の認識、歩行状態などを、客観情報と整合する形で整理しておくことが重要です。

労災が認められた場合に受けられる補償内容
労災認定がされると、治療費や休業補償だけでなく、後遺障害や死亡に関する給付など、状況に応じた補償を受けられます。
労災が認められると、医療費負担の軽減だけでなく、休業中の補償、後遺障害が残った場合の給付などが制度として用意されています。社内階段での転倒のように日常的な事故でも、仕事との関係が認められれば給付の対象になります。
補償の範囲は、治療に必要なもの、働けない期間の補填、障害が残った場合の長期給付、死亡時の遺族給付などに分かれます。
療養補償給付(治療費)
療養補償給付は、労災によるケガや病気の治療に必要な費用が支給されます。原則として、労災指定医療機関を利用すれば窓口負担なく治療を受けられる扱いになります。
対象となるのは診察、検査、薬、手術、入院など治療として相当な範囲で支給されます。治療と関係が薄いものまで広く認められるわけではないため、医師の診断内容と事故状況の整合性が重要になります。
領収書や明細がないと後で困るため、受診初期から書類を残すようにしてください。
休業補償給付
休業補償給付は、労災による療養のために働けず賃金を受け取れない場合に支給されます。一般に休業開始後すぐに全期間が対象になるわけではなく、休業4日目から支給されます。
申請の際は、医師の意見と就労不能期間の説明を揃え、勤務実態と矛盾が出ないようにすることが重要です。
後遺障害・死亡時に受けられる補償の概要
治癒後も症状が残り、労働能力に影響がある場合には障害に関する給付が検討されます。後遺障害の認定は等級によって給付内容が大きく変わるため、症状固定の時期や検査所見の整備が重要です。
死亡に至った場合は遺族に対する給付や葬祭料が問題になります。遺族の範囲や生計維持関係など、事実認定が必要な要素があるため、書類の準備が欠かせません。
飲酒が絡む場合は、死亡や重篤化の原因が業務に起因するといえるかが争点化しやすいです。医療記録と事故状況を、早い段階から整理しておくことが重要です。
飲み会・懇親会でケガをした直後に取るべき行動
労災認定は証拠が重要なため、事故直後の対応(受診・証拠化・報告)がその後の結果に大きく影響します。
飲み会後の転倒は、時間が経つほど事実関係が曖昧になり、私的行為と誤解されたり、飲酒の影響だけが強調されたりしやすくなります。事故直後に、受診と同時に状況を記録しておくことが、その後の労災判断に影響します。
特に重要なのは、懇親会が会社行事だったことを示す情報と、転倒が行事に付随する通常の移動中に起きたことを示す情報です。
ケガの状況と発生状況の証拠を残しておく方法
転倒場所が社内階段なら、段差、手すり、照明、床の滑りやすさ、注意表示の有無などが分かる写真や動画を残します。
懇親会の会社主催性を示す資料も重要です。案内メールや社内チャットの告知、参加者名簿、費用精算の資料、会社施設利用の手続記録などは、業務遂行性の判断のための証拠になります。口頭で誘われた場合も、日時や発言者、断りづらさの事情をメモに残します。
医療面では、受診記録、診断書、救急搬送記録、当日の飲酒量や症状の申告内容が後に争点になります。
健康保険を使うか労災申請をするかを判断する視点
業務や通勤に関係する可能性があるケガは、原則として労災が優先されます。最初から断定できなくても、会社行事性が疑われるなら労災の可能性を前提に動くのが基本です。
ただし、受診の緊急性や手続の都合で、いったん健康保険で受診してしまうこともあります。その場合でも、後から労災に切り替える余地があるため、領収書や明細、診療内容の資料を必ず保管します。
病院の窓口では、仕事や会社行事との関係がある可能性を伝え、どの保険で処理するか相談します。

労災申請の流れと必要書類
飲み会関連事故は争点が多いため、業務災害か通勤災害かを見極めたうえで、必要書類と主張立証の材料を揃えて申請することが重要です。
懇親会中や社内階段での転倒は業務災害、帰宅途中の事故は通勤災害として整理されます。
飲み会絡みは、会社行事性、参加要請の実態、費用負担、時間の連続性、飲酒の程度、事故原因といった論点があります。
会社が非協力的な場合でも、労災申請は本人が進められます。
業務災害として申請する場合の手続きの流れ
業務災害として申請する場合は、治療費に関する給付や休業補償など、必要な給付の様式を使って申請します。基本は、事故状況、業務との関係、医師の診断内容を揃えて提出する流れです。
飲み会の場合は、懇親会が会社の支配下にあったことを示す事情を、申請書の記載だけでなく添付資料で補強します。案内文、費用負担の資料、出欠管理、上司の要請の経緯、勤務との連続性などを、時系列で説明します。
通勤災害として申請する場合の手続きの流れ
通勤災害として申請する場合は、通勤災害用の様式で、合理的な経路・方法による移動だったことを説明します。地図や乗換経路、発生地点、発生時刻を整理し、逸脱・中断がないかを明確にします。
飲み会が絡むと、どこから帰宅行為が始まったのか、二次会があったのか、寄り道の内容と時間はどうかが争点になります。時系列表を作り、領収書や位置情報、終電時刻など客観資料で補強すると効果的です。
逸脱・中断があった場合でも、その後に合理的な経路へ戻った時点から通勤性が回復するかが問題になります。回復を主張するなら、立ち寄りが最小限であったことや、帰宅再開後は合理的経路だったことを具体的に示す必要があります。
会社が協力してくれない・申請を拒む場合の対応
労災申請は会社ではなく本人が行えます。会社が申請を拒んだり、協力しない姿勢を示したりしても、労災申請が可能です。
会社証明が得られない場合は、その理由を含めて提出し、代替資料で事実関係を裏付けます。例えば、案内メール、参加者の証言、会場の予約記録、費用精算の痕跡、当日の勤務記録など、会社関与や時間の連続性を示す証拠を提出します。

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飲み会・懇親会の労災は、業務遂行性・業務起因性や通勤経路の評価など法的整理が難しいです。
飲み会絡みの事故は、形式上は任意参加とされていたり、飲酒が原因と見られやすかったりして、労災の争点が複雑になりがちです。
特に社内階段の転倒のように、場所は会社内でも行事の性質が問われるケースでは、会社の支配下にあったことの説明が重要です。
弁護士に相談することで、業務災害か通勤災害かの整理、争点の見立て、主張や証拠の収集、会社非協力時の対応まで、サポートをえられます。
まとめ
社内懇親会後に社内階段で転倒した場合でも、会社行事としての実態や飲酒の程度、事故状況によって業務災害として労災が認められる可能性があります。帰宅途中の事故は通勤災害の枠組みで、逸脱・中断や二次会参加の有無が争点になります。
社内の懇親会後に社内階段で転倒した場合、労災については、懇親会が会社の支配下にある行事だったかという業務遂行性と、転倒が業務に内在する危険の現実化といえるかという業務起因性で認定されるかが決まります。会社主催、費用負担、出欠管理、就業時間との連続性が強いほど、労災と認定されやすくなります。
一方で、有志の私的飲み会、会費制、自由参加で会社関与が薄い場合は、業務遂行性が否定されやすくなります。また、過度の飲酒や危険行為が原因だと、行事が会社行事でも業務起因性が否定されることがありえます。
帰宅途中の事故は通勤災害として、合理的経路・方法、逸脱・中断の有無、二次会参加や長時間滞留の有無が重要になります。
労災事故に巻き込また後、なるべく早めに、弁護士に相談することをおすすめします。
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まずは弁護士にご相談いただき、ご自身の状況や今後の動きについて一緒に考えていきましょう。
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この記事を書いた弁護士
徳田隆裕(とくだ たかひろ)
弁護士法人金沢合同法律事務所 弁護士
2010年弁護士登録。労働者側での労働事件を専門として、解雇、残業、労災といった労働問題で困っている労働者を笑顔にするために、日々弁護活動を行っています。「労働弁護士徳田タカヒロ」というYouTubeチャンネルで、労働問題についての情報発信をしています。
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